ICT教育

「防災等に資するWi-Fi環境」 をきっかけとした学校へのICT普及

■総務省が、防災対策を目的に、Wi-Fi環境整備を計画

昨年末、総務省は「防災等に資するWi-Fi環境の整備計画」を公表しました。

この計画は、下記の2点に該当する場所についてWi-Fi環境整備を実施することで、災害時の必要な情報伝達手段を確保するというものです。

①災害発生以降、災害の危険性がなくなるまで滞在し避難生活を送る避難所・避難場所
(災害基本法により指定された避難場所、地方公共団体本庁舎、主要な支庁舎など)
② 被災場所として想定され、災害対応の強化が望まれる公的な拠点
(博物館、有形文化財、自然公園内の施設、観光案内所など)

平時においては、観光関連情報の収集、教育での活用などにより利便性の向上を図ることを目的としています。

整備目標期間は3年間で、平成29年度~31年度。対象となる場所は整備済みを含み約30,000か所が設定されています。その内訳は、①のうち避難所・避難場所が約22,000か所、地方公共団体本庁舎・主要な支庁舎が約4,000か所、②の全体で約4,000か所です。

同資料の「都道府県別 整備予定数及び整備済み数」を見ると、「整備済み」の数が最も多いのは東京都で2,061か所(整備予定は810か所)。最も少ないところは香川県で56か所(整備予定は79か所)です。

ただ、整備数ではなく「整備率」では、最も高いのは京都府の81.5%(整備総数411か所のうち331か所が整備済み)で、最も低いのは高知県の15.9%(整備総数439か所のうち70か所が整備済み)となっていて、現状の整備率に大きなバラつきがあることがわかります。

「防災等に資するWi-Fi環境の整備計画」では3年後に100%になることを目指しているので、各地のWi-Fi環境は大きく変化していくことでしょう。

<ココまでのまとめ>
・総務省は「防災等に資するWi-Fi環境の整備計画」を公表した。
・平成31年度までに全国の避難所や博物館など、約30,000か所のWi-Fi環境整備を目指す。

<参考資料>
ICT教育ニュース 総務省予算案、学校の防災兼用Wi-Fi整備計画とプログラミング教育
総務省 防災等に資するWi-Fi環境の整備計画

■公衆無線LAN整備支援事業

「防災等に資するWi-Fi環境の整備計画」と同時期に「2017年度予算案」が発表され、Wi-Fi環境の整備を進めるための予算として「公衆無線LAN環境整備支援事業」に31.9億円が計上されました。

同事業の目的は、
防災の観点から防災拠点(避難所・避難場所、官公署)での公衆無線LAN(Wi-Fi) 環境の整備を行うとともに、災害発生時の情報伝達手段確保のため、被災場所として想定され災害対応の強化が望まれる公的な拠点(博物館、文化財、自然公園等)における公衆Wi-Fi環境の整備を行う地方公共団体等に対し、その費用の一部を補助する
と定義されています。

補助対象には、学校の体育館や多目的ホール、図書館、視聴覚室、技術室、家庭室など、避難所・避難場所として指定されている“教育の現場”も入っていることから、今後はますます学校にWi-Fiが浸透していくことが予想されます。

Wi-Fi環境整備は“防災の観点”から推し進められているプロジェクトですが、平時は教育の現場で活用することも含まれているため、結果的に「ICT教育導入」のきっかけとして、教育現場のICT化も後押しすることになりうるでしょう。
「ICT教育」を声高に叫んでも、学校に肝心のWi-Fi環境が整っていなければ、パソコンやタブレットはその機能を十分に活かすことができません。

<ココまでのまとめ>
・Wi-Fi整備計画を推進する予算として「公衆無線LAN環境整備支援事業」に31.9億円が計上された。
・防災の観点から勧められたWi-Fi整備計画が「ICT教育導入」のチャンスになる。

<参考資料>
総務省 公衆無線LAN環境整備支援事業
総務省 「公衆無線 LAN 環境整備支援事業」公募要領

■教育現場のWi-Fi環境整備で、後押しされるICT化

「2017年度予算案」の概要を見ると、教育現場のICT化が進められていることがわかります。

総務省は、「スマートスクール・プラットフォーム実証事業」に5億円をあてるとしています。これは、児童や生徒が用いる授業・学習系システムと、教職員が用いる校務系システムの情報を、安全に効果的に連携させる方法などについて、文部科学省と連携して実証し、データ利活用による教育の高度化や学校経営の効率化を図るというものです。

さらに、プログラミング教育の推進にも力を入れ、クラウド上でコンテンツを共有できるポータルサイトの構築やコンテンツ開発を行うとしています。プログラミング教育の実証研究は昨年から開始されており、全国の小学校11校が連携して、取り組みが行われています。

文部科学省は、「教育の情報化加速化プラン」を推進するとして、情報セキュリティーの実践やICT機器を利用したアクティブ・ラーニングの指導法開発などを行う計画を立てています。

また、ネットの適切な使い方を指導する「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」、学習アプリなどを開発する「情報通信技術を活用した教育振興事業」など、ICT教育を実践するための下地も着々と推し進められる予定です。

■防災・教育双方の活用を見据えた事例

実際の導入事例もすでに出てきています。青森県の大間町教育委員会は、ICT教育の推進のために、2つの小学校にバッファローの無線LANアクセスポイント「WAPM-1750D」を導入しました。

そのうちの1校である大間小学校では、先生がタブレットに表示したデジタル教科書などのコンテンツや、児童がタブレットのカメラで撮影したノートを、プロジェクターに投影するなどして、教室内の皆がそれらをすぐ共有しています。同校の先生は「ICT活用で児童たちの学ぶ意欲の向上を実感しています」と評価し、ICT教育の意義を実感しているそうです。
平時にICT教育が促進される一方で、「WAPM-1750D」は非常時にパスワード不要でWi-Fiに接続できる「緊急時モード」が備わっており、地域住民の災害時避難所となる同校の体育館で、通信インフラとして役立つことが期待されています。

<ココまでのまとめ>
・総務省と文部科学省はさまざまなプランを立て、ICT教育を推進している。
・大間町教育委員会はバッファローの無線LANを導入し、ICT教育をはじめている。

<参考資料>
総務省 平成29年度総務省所管予算 概算要求の概要
総務省 若年層に対するプログラミング教育の普及推進(平成28年度~)
教育新聞 ICT教育に約13億円 文科省29年度概算要求【情報教育特集】
バッファロー:導入事例 校舎内全域をカバーする無線LANを青森県で初めて導入。ICT教育の推進で学習レベルの向上を目指す避難所の通信インフラとしても活用

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