ICT観光

観光客向けWi-Fi設置の宿泊施設・自治体の例【シリーズ「日本の観光立国とICT」】

■旅行中に困ったこと1位は「無線LAN」

日本はまだ「公衆Wi-Fi(無線LAN)後進国」と言わざるを得ない状況が続いています。

今年2月に観光庁が発表した「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート 結果」には、その状況が如実に現れています。このアンケートは2016年9月~10月に、成田国際空港や新千歳空港、福岡空港、観光案内所などで、5,332人の訪日外国人旅行者を対象に行ったものです。

その中で「旅行中に困ったこと」という質問に対する回答の2位は「無料公衆無線LAN環境」(28.7%)。ちなみに1位は「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」で32.9%でした。

ただ、他の質問項目を見ると、無料公衆Wi-Fi環境が「かなり改善している」「多少改善している」と答えた人の合計が60.5%にのぼることから、良い方向に向かっていることは間違いありません。2014年に行われた同アンケートの同じ質問では、旅行中に困ったことでは「無料公衆無線LAN環境」が46.6%で1位でした。今回は困ったと回答する割合も順位も改善されています。

それでも、いまだに3割弱の訪日外国人旅行者がWi-Fi環境に不満を抱いているという現状は、日本が観光立国を目指していることを考えれば、解決するべき課題だと言えるでしょう。
訪日外国人旅行者のWi-Fiに対する期待は大きく、ホテルは「Wi-Fiが使えるか」を基準に選ぶとも言われます。日本政府観光局(JNTO)が過去に行った「TIC利用外国人旅行者 調査報告書」では、「いつ・どこでインターネットを使用したいですか?」との問いに対して、群を抜いて「宿泊施設」(88.9%)が1位になっています。

この状況からわかることは、宿泊施設や観光地にとって、Wi-Fi(無線LAN)環境を整えることは「コスト」ではなく、有益な「投資」ということです。そこで今回は、宿泊施設や自治体がWi-Fi導入のためにどのような投資を行っているのか、事例とともに紹介していきます。
<ココまでのまとめ>
・日本のWi-Fi環境は改善しているものの、まだ「満足」のレベルには達していない。
・訪日外国人旅行者はWi-Fiを使えるホテルを選ぶ。つまり、Wi-Fiの導入費用はコストではなく有益な投資と言える。

<参考資料>
観光庁 「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に 関するアンケート」結果
訪日外国人の不満1位 「公衆無線LAN後進国」脱却へ
バッファロー 選ばれるためのWi-Fi環境設備

■旅行者の不満を解消した、宿泊施設のWi-Fi事例

<星野リゾート・トマム>
年間10万人が訪れる「雲海テラス」で有名な「星野リゾート・トマム」は、1,000ヘクタールという広大な森の中に建つ4棟のタワー型ホテルやスキー場、ゴルフコース、コンドミニアムなどをもつ、北海道内でも最大規模の複合施設です。

訪日外国人旅行者にも人気の星野リゾート・トマムですが、以前は客室にWi-Fiが導入されておらず、ロビーに共用パソコンが数台あるだけで、約2割の施設利用者から「ネット環境に関する不満」の声があがっていたそうです。

不満の声を受け、星のリゾート・トマムは4棟全ての客室にWi-Fiを導入するため、300台のWi-Fiアクセスポイント(AP)を用意。ユーザー視点に立って、客室ではなく、廊下など目に触れにくい場所にAPを設置することにしました。

その結果、ネット環境に対する不満の声はなくなり、訪日外国人旅行者からも好評とのことです。今後はリピーターが増えることも期待されています。
<K’s House Ito Onsen(ケイズハウス伊東温泉)>
年間の延べ宿泊者数が1万泊を超えるという人気のユースホステル「K’s House Ito Onsen(ケイズハウス伊東温泉)」。2008年開業のこの施設は、大正時代に建てられた高級旅館を改装したユニークなユースホステルで、訪日外国人旅行者に人気があります。

実際に各国から旅行者が毎日訪れているそうですが、以前はケイズハウスも訪日外国人旅行者の期待度が大きい「Wi-Fi」に関する悩みを抱えていました。家庭用のWi-Fi機器を使用していたため、利用者が増えるとネット環境が不安定になっていたのです。

そこでバッファローは業務用Wi-Fiアクセスポイント「WAPM-1750D」を提供し、施設内のWi-Fi環境を一新しました。同機器は最大100台までのタブレットの同時接続が可能な仕様で、大人数でも満足できるネット環境の構築が可能になります。

導入後はネットが止まることもなくなり、訪日外国人旅行者の笑顔も増えたといいます。

<ココまでのまとめ>
・星野リゾート・トマムは全客室にWi-Fi導入に踏み切り、利用者のネットに対する不満を解消した。
・ケイズハウス伊東温泉はバッファローの業務用APにより、ネット環境が安定した。

<参考資料>
お客様目線で構築した全客室・無線LANインターネット導入で顧客満足度アップを実現(星野リゾート・トマム)
伊豆経済新聞 年間1万泊のユースホステルが実感「つなげる」ホステルの「つながる」努力

■外国人旅行客にも使えるWi-Fiとは-自治体のWi-Fi事例

<熊本県庁>
熊本県は2013年から公衆Wi-Fiサービス「くまもとフリーWi-Fi」を展開しています。2016年7月時点で448のアクセスポイントがあり、訪日外国人旅行者をはじめとする観光客が快適にネット利用できることを目的に実施されています。

初期費用やランニングコストを抑えられることから、公衆Wi-Fi規格「FREESPOT」が採用され、敷設機器の1つとしてバッファローのFREESPOT導入キット「FS-600DHP」が使われています。

2016年4月の「熊本地震」は記憶に新しいですが、震災時または震災後に電話回線が不通になる中で、ネットを利用したSNSが通信手段として役割を果たしました。訪日外国人旅行者の誘致のために導入されたフリーWi-Fiが有事の際にも大きな力になることを証明した事例と言えるでしょう。

<成田市観光協会>
多くの訪日外国人旅行者が日本で最初に降り立つ場所になっている成田国際空港。これ擁する千葉県成田市は国際観光都市として知られています。初詣客数全国2位の成田山新勝寺は特に有名ですが、イベントも豊富で、成田太鼓祭、成田祇園歳などで多くの観光客が訪れています。

国際観光都市・成田市の課題は「訪日外国人旅行者も簡単に使えるWi-Fiの整備」でした。日本人観光客なら使えるWi-Fiでも、国内通信事業者と契約していない外国人は使うことができず、頻繁に不満の声があがっていたのです。

解決策として、バッファローのフリースポット導入キット「FS-HP-G300N」を観光地や公共施設などに設置し、2014年4月から公衆無線LANサービス「アクセスフリー成田」が導入されました。

その結果、訪日外国人旅行者からのクレームはなくなり、アクセスフリー成田を経由したFEEL成田の外国語ページへのアクセスも急増しているそうです。

<ココまでのまとめ>
・観光客誘致でフリーWi-Fiを導入した熊本県。震災時には大きな力にもなった。
・国際観光都市・成田市は「外国人も簡単に使えるWi-Fi」を提供し、クレームゼロを実現した。

<参考資料>
外国人観光客誘致で整備してきた公衆Wi-Fiサービスを 公共施設や仮設住宅、集会所へ展開。被災者の支援や復興支援に役立つ通信インフラを提供(熊本県庁)
観光客からの要望と来訪促進を目指し、無料の公衆無線LANサービス「アクセスフリー成田」を提供開始(成田市観光協会)

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