ICT観光

スタッフの連絡手段、設備拡充、業務の効率化――Wi-Fi環境がホテル・旅館にもたらすメリット

Wi-Fi導入は宿泊施設にも大きなメリットをもたらす

訪日外国人をはじめとする宿泊客の増加に伴い、Wi-Fi(無線LAN)を導入する宿泊施設が増えてきています。導入の主要な目的は、「宿泊する部屋でもWi-Fiを使えるようにしてほしい」「もっと安定したネットワーク環境を提供してほしい」といった「お客様からの要望に応える」ことでしたが、宿泊客のためだけではなく、じつは宿泊施設の設備や業務などの改善に役立ったというケースが少なくありません。そうした事例を見てみましょう。

<ケース① 加賀屋>
1906年に創業し、業界紙主宰の満足度調査で36年連続で日本一に輝いている旅館「加賀屋」は、訪日外国人旅行者の増加に伴い、「部屋でも無線LANを利用できるようにしてほしい」という要望に応える形でWi-Fi環境を整備しました。

その結果、宿泊客の満足度が高まっただけでなく、スタッフ間の連絡がスムーズになったそうです。例えば、Wi-Fi導入以前、客室係と調理場の連絡は電話とメモがメインで、電話が混み合うとつながらないことが問題でしたが、Wi-Fi導入後は、客室係がスマートフォンで連絡をとり合い、調理場にはタブレット端末を配置してコミュニケーションを効率化するなど、連絡を迅速かつ正確に伝える手段を構築することができたそうです。

<ケース② 新宿ニューシティホテル>
30年以上経営を続ける老舗ビジネスホテル「新宿ニューシティホテル」は、2014年にWi-Fi環境を一新しました。快適なWi-Fi環境を構築したことで、宿泊客からネットワークに対するクレームや問い合わせは一切なくなったといいます。これにより、本来の業務に専念することができるようになったことで業務改善にも意識が向くようになり、今後はWi-Fiを監視カメラ接続のネットワークとして利用してセキュリティー体制を改善する、無線LANトランシーバーとの併用によるスタッフ連絡環境の構築の検討などがはじまりました。

このように、宿泊客対応のためのWi-Fi導入は、宿泊施設運営に大きく役立ち得るのです。

<ココまでのまとめ>
・宿泊客の要望に応える形でWi-Fiを導入した宿泊施設で、Wi-Fi導入が「宿泊客のため」だけでなく、「宿泊施設のため」になっているケースがある。
・Wi-Fi環境は、監視カメラや施設内のコミュニケーションインフラとしても役立つ。

<参考資料>
Wi-Fi環境の再構築でトラブルを解消し、快適な通信環境を実現。宿泊客の満足度が向上し、業務負荷も軽減
日本一の「おもてなし」に貢献する世界品質のワイヤレス LAN ソリューション

社内・館内コミュニケーション環境に革命

Wi-Fi導入によって、社内や館内のコミュニケーション環境が大きく改善できる可能性があります。

これまでの旅館やホテルのスタッフは、主に固定電話やPHSで連絡をとり合っていましたが、Wi-Fi環境を整え、スマートフォンなどのデバイスを利用すれば、コストを抑えて従来と同等以上のコミュニケーションを実現できるかもしれません。

改善されるポイントを具体的に見ていきましょう。

① コスト削減
スマートフォンに通話アプリをインストールすることで、Wi-Fiネットワークを使って通話することが可能になります。通話にWi-Fiを利用すれば、固定電話や携帯電話のように「○分○円」と従来のような通話料金がかかりません。つまり、これまでスタッフ間の連絡で使用していた固定電話やPHS、携帯電話の利用コストの削減につながります。

② 通話だけではないコミュニケーション手段
固定電話の場合、通話が唯一のコミュニケーション手段でした。通話のデメリットは「自分の都合の良いタイミングで情報を確認できない」「1対1でのコミュニケーションのみ」といった点でしょう。

その点、スマートフォンを利用すると、これらのデメリットを簡単に解消して、最適なコミュニケーションを確立できるでしょう。例えば、スマートフォンでは「チャット」や「作業管理ツール」など通話以外の多彩な機能を利用できます。

簡単に言えば、チャットでは、複数人でテキストを使ってリアルタイムに情報を交換でき、作業管理ツールでは、スタッフ間で作業状況共有できます。これらを利用するメリットは、スタッフは自分のタイミングで、また作業にマッチする方法に合わせて情報をやり取りでき、作業を把握・管理しやすくできること。こうしたメリットにより業務の効率化をはかることができるでしょう。

例えば、グループチャットを導入したホテルでは、離れた複数店舗や、シフトの重ならないスタッフのやりとりも増え、コミュニケーションが活性化したケースがあります。「どこにいてもすぐにやり取りができる」「記録が残る」などがこれまでにないメリットになりました。
<ココまでのまとめ>
・Wi-Fi環境を整え、スマートフォンを利用すると、社内・館内連絡のコスト削減につながり得る。
・スマートフォーンを利用すれば、通話だけでなく、チャットや作業管理ツールなど最適なコミュニケーションを選択できる。

<参考資料>
MOT/Hotel Phone
MOT/Hotel Lite
「現場のコミュニケーションの質」を上げることができました

受付の効率化、要望の吸い上げにも効果大――サービス品質の向上

Wi-Fi導入は、スタッフ間のコミュニケーション改善に限らず、宿泊施設の設備の面でもメリットをもたらし得ります。事例やツールを紹介しましょう。

<ナインアワーズ京都>
京都、成田空港、仙台でカプセルホテルを運営している「ナインアワーズ京都」は、スマホやタブレットで決済ができる「コイニー」導入し、Wi-Fiを活用してペーパーレスかつ効率的な決済を実現しました。さらに、フロントでのチェックイン業務を効率化するため、2016 年からはタブレット(iPad)を使ったチェックインのシステムを導入しています。

<おもてなしタブレット(訪日客向け多言語接客ツール)>
「おもてなしタブレット」は、中小サービス事業者向けの外国人観光客向けの訪日客向け多言語接客ツールです。タブレット端末でメニューやマナー、サービスの利用方法や店内地図などの情報が多言語で閲覧できるところが特徴です。2020年東京オリンピックに向けて、訪日外国人旅行者が急増している現在、受け入れるホテルや旅館にあると便利なツールと言えるでしょう。

<客室タブレットコンシェルジュ「vivuan」>
多言語にも対応したタブレット「vivuan」は、宿泊されるお客様の要望や声を集約する客室コンシェルジュの役割を担い、「館内施設やレストラン、非常口、各種サービスのご案内」「ルームサービス、クイックチェックアウト等のオーダー機能」を搭載しています。

<PepperやKibiroなど、ヒト型ロボットが受付>
ヒト型ロボットが受付を担当するケースは様々な店舗などで増えています。宿泊施設でも案内役として好評を博しています。

以上見てきたように、Wi-Fi環境は、宿泊客のためのネットワーク環境としてだけではなく、スタッフの連絡手段や、施設の設備拡充や業務の効率化にも寄与できるものとしても期待できると言えるでしょう。

<ココまでのまとめ>
・タブレットを使った受付や接客のソリューション効率化が出てきている。
・Wi-Fi環境は、スタッフの連絡インフラだけでなく、施設の設備としても、また、業務の効率化にも役立つ

<参考資料>
近畿経済産業局 平成 27 年度サービス産業事業者の生産性向上に係る課題及び解決事例調査報告書
客室タブレットコンシェルジュサービス「vivuan」
Pepper for Biz
Kibiro受付パッケージ

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