ICT教育

ICT利活用教育の整備とともに求められる教職員の情報共有ネットワーク

ICT利活用教育で重要になる、教職員のための情報やコンテンツ

ICT利活用教育は、単純に生徒がICT機器を使用しさえすれば良いというものではなく、教員が使うデジタル教材があって実現されると言えます。生徒がいくらICT機器を使いこなせたとしても、教材(教育コンテンツ)が整っていなければ、授業は成立しません。
そのための整備として、教育コンテンツはもちろん、教材開発の資料や文献など、教員が学校教育で参考にしたり使用したりできる、情報やコンテンツが共有されたネットワークが求められています。

文部科学省は平成12年度から授業で使える画像や動画などの教育用コンテンツを開発し、ホームページ上で公開していました。現在、このコンテンツの一部は文部科学省 国立教育政策研究所にコンテンツを移管されています。国立教育政策研究所は、2014年から「教育情報共有ポータルサイト(CONTET/コンテット)」の正式運用を開始しました。CONTETは「初等中等教育に携わる教職員及び教育関係者が都道府県や市町村の垣根を越えて、教材・指導資料など教育に関する様々な情報を集積・共有するとともに、同じ目的や関心を持ったユーザーがグループを形成し、授業や学校運営上の工夫等についての情報交換・交流を行えるサイト」と位置づけられています。

文部科学省もCONTETの利用を促すメッセージを出しており、2017年3月に発表された「学校における情報セキュリティ及びICT環境整備等に関する研修教材」の巻末にもCONTETが掲載されています。

ほかにも、国の機関による教材提供はさまざまな機関で取り組まれています。最近のICT授業で特にニーズの高い映像コンテンツとしては「NHK for School」が知られています。NHKは豊富な映像ライブラリーを教材用として配信しており、あわせて授業プランなども提供しているのです。

<ココまでのまとめ>
・ICT利活用教育は、教員が使う教材ありき。良質なコンテンツや教員のための情報を共有するネットワークが求められる。
・国の機関による教材提供として、国立政策研究所のポータルサイトやNHKの教材用映像ライブラリーがある。

<参考資料>
文部科学省 教育用コンテンツについて
教育情報共有ポータルサイト「CONTET」
文部科学省 学校における情報セキュリティ及びICT環境整備等に関する研修教材
NHK for School

自治体レベルで形成される独自ネットワーク

自治体が企業と協同するなどして、独自のネットワークを提供しているケースもあります。
いくつか紹介しましょう。

滋賀県草津市では、公立小中学校全20校で、教材用デジタルコンテンツを共有・利用できる「教材共有システム」が活用されています。これは日立製作所と日立ソリューションズ・クリエイトが構築したもので、従来草津市の小中学校や教育委員会で個別に作成・保管していた教材や学習指導案などのコンテンツをデータベース上で一元管理し、教職員がポータルサイトを通じて共有できるようにしています。また、システム上に蓄積されたコンテンツを電子黒板やタブレットに投影など、ICT利活用教育をスムーズに遂行するためのさまざまな機能を備えています。

石川県は県内の県立学校・公立小学校を対象に「教育情報の提供」「交流支援」を目的にしたWebサイト「スマートスクールネット」を構築しています。
石川県の教職員は、このサイトにログインして、教育委員会で取りまとめられた学習指導案や教材を検索・利用できたり、授業づくりのアイデアや教材を共有したりできます。

奈良県教育委員会は昨年、アドビシステムズが開発した教育向けコミュニティーサイト「Adobe Education Exchange (AEE)」における授業素材や体験授業のためのアイデアを共同開発すると発表しました。AEEは、2016年10月時点で世界31万5千人以上の教育者が登録しているオンラインコミュニティーで、教員同士が授業のアイデアや指導計画を共有または議論する場として活用されています。

<ココまでのまとめ>
・自治体が企業と協同し、独自の教育用ネットワークを形成しているケースも。
・独自ネットワークを利用して、教材や学習指導の資料を教職員と共有している。

<参考資料>
滋賀県草津市の公立小中学校向けに「教材共有システム」を構築
スマートスクールネット
奈良県教育委員会とLife is Tech!と共同で授業アイデアや素材を開発

教育コンテンツを共有するネットワークの将来像

教材などを共有できることは以前から便利と考えられていましたが、現状は上記で紹介したように自発的な取り組みに委ねられており、中央で一元的に管理されるのが望ましいのか、それぞれ取り組むべきか、その役割分担や統一されたフォーマットはまだ「正解」が見えていない状況と言えます。

この点に関して、プログラミング教育については過去に取り上げた記事でも紹介しましたが、文部科学省は昨年6月に発表した「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」の中で、今後の教育の形として「全ての教員や関係者が活用できるようなプログラミング教育のポータルサイトを構築していくことも考えられる」「学校現場がインストールせずに使うことのできるWebサービスなど、活用しやすい工夫が求められる」など、ネットワークを活用した運用について方針が示されています。

2017年3月には、文部科学省・総務省・経済産業省が連携し、「多様かつ優れたプログラミング教材の開発や企業の協力による体験的プログラミング活動の実施等、学校におけるプログラミング教育を普及・推進すること」を目的として、「未来の学びコンソーシアム」が立ち上げられました。「未来の学びコンソーシアム」では、教育・IT関連企業・ベンチャーなどの外部機関も参加してポータルサイトを構築し、学校や教育委員会等に対して、現場のニーズに応じたコンテンツの供給や外部人材による協力・支援を行うとしていますが、ここでも優れた教育コンテンツの開発・共有が目指されており、今後の動向が期待されます。

<ココまでのまとめ>
・教育用デジタルコンテンツの共有がどのような形でなされるべきか、まだ「正解」は見えていない。
・プログラミング教育においては文部科学省などが外部と協力して、ポータルサイトとなる「未来の学ぶコンソーシアム」を立ち上げた。

<参考資料>
小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)
「未来の学びコンソーシアム」を設立します~官民でプログラミング教育を~

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