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「防災×教育・観光」の観点から、ICT環境を効果的に整備・活用――「BUFFALOソリューションセミナー2017」レポート

2017年10月~12月の間、バッファローは全国13会場で「BUFFALOソリューションセミナー2017」と題したセミナーを実施しています。そのテーマは「情報セキュリティー対策と防災活用を踏まえたWi-Fi環境整備」「セキュアなデータマネジメント」。2017年11月10日に開催された東京会場におけるセミナーでは、総務省の担当者による特別講演が行われました。今回はこの東京セミナーの模様をレポートします。

セミナーのプログラムは特別講演からスタート。会場となったベルサール八重洲には、販売店、SIer、ユーザーの方々がご来場になりました。プログラムが始まる前から、製品ブースに多くの方々が訪れてスタッフの説明に耳を傾けておられました。

■災害時に必須となった公共のWi-Fiだが、平時の活用にも必要性が高まっている

「災害時だけじゃもったいない、Wi-Fiの効果的な整備や活用法(防災×教育・観光)」と銘打って行われた特別講演。登壇した総務省 情報流通行政局 地域通信振興課・課長補佐の渡邉倫幸氏は、冒頭で「災害時に必須となったWi-Fiですが、平時での必要性も高まっています」と切り出しました。
災害時の連絡手段として、Wi-Fiは災害に強い通信インフラとして期待されていますが、渡邊氏はそれに加え、Wi-Fi環境が平時においても重要であることを事例やデータとともに語りました。

総務省 情報流通行政局 地域通信振興課・課長補佐の渡邉倫幸氏

実際に平時からWi-Fiが活用されている代表例として、渡邉氏は、災害時に重要な拠点にもなる「学校」と「観光地」を紹介しました。全国の約9割が避難所に指定されている学校では、平時、タブレット端末などをWi-Fiにつなぎ、ICTを活用した学習活動が行われています。また、災害時に滞留者・帰宅困難者が発生したときの拠点となる観光地では、平時、来訪者が観光体験をSNSなどで発信する通信手段としてWi-Fiが利用されています。このような平時におけるWi-Fiの活用状況を踏まえ、「今後、教育・観光の両面でその必要性が高まっていく」と渡邊氏は指摘し、さらなるWi-Fi環境整備の必要性を訴えました。

▽学校:新学習指導要領により、ICT環境整備が急務に
今後の学校のWi-Fi環境整備に大きく関わるのが新学習指導要領。情報教育・ICT活用関連で、「学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実に配慮」することが明記されました。新学習指導要領は、小学校は2020年度、中学校は2021年度から全面実施となります。しかし、文部科学省の調査によれば、普通教室の無線LAN(Wi-Fi)整備率は26.1%(2016年3月1日現在)と、まだ未整備のところが多く、ICT環境の整備は急務となっているのです。

▽観光地:無線LAN設置が訪日外国人観光客の獲得に直結
一方、観光面の状況をみると、2016年の訪日外国人旅行者数は2,404万人にのぼり、その消費額は約3.7兆円で、これは電子部品の3.6兆円、自動車部品の3.5兆円といった輸出額に匹敵する規模になっています。インバウンド観光に関する自治体の取り組みとしては「無線LANの設置」が最も多く、実施率が訪日外国人観光客の獲得に直結することが、総務省の調査で明らかになっています。Wi-Fiは観光立国を支えていると言えるでしょう。

■整備対象に「廊下」を明示し、学校のWi-Fi環境整備加速を後押し

こうした状況から総務省では、Wi-Fi環境の全国整備を推進しています。2017~2019年度までの3カ年で「防災等に資するWi-Fi環境の整備計画」を策定。渡邊氏によれば「2020年度・約3万ヶ所の整備目標のうち、整備済みの約1.4万ヶ所を除く約1.6万ヶ所について、公衆無線LAN環境整備支援事業の活用が決まっている」とのことです。

総務省補助事業を活用した学校の整備モデル。緑色で示された体育館・特別教室などが、総務省の支援を活用した整備スペースになる

総務省の支援事業でポイントとなるのは、体育館、グラウンド、特別教室といった、通常の機器の設置が想定される部屋単位に加え、整備対象に「廊下」が含まれていることだといいます。廊下にWi-Fi環境が整備されれば、その電波を隣り合う様々な空間で利用できます。災害時には、家庭科室は炊き出し・飲食のスペースに、理科室は、乳幼児への授乳・寝かしつけスペースに、音楽室は、避難生活に特別な配慮が必要な高齢者・障がい者向けの専用スペースに、といったように特別教室の様々な活用が想定されています。「それらすべてに隣接する廊下にWi-Fiを整備することが、災害時、それぞれ異なった事情を抱える避難者のサポートにつながります。その電波は普通教室でも利用可能で、平時は利用者を生徒・教員に限定すれば、災害対応を兼ねた形で、新学習指導要領に明記された『ICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実』」にも資することになります」――渡邊氏はそう強調しました。

■公衆無線LAN環境整備支援事業の交付決定事例

この支援事業を活かした実例やそのポイントも紹介されました。渡邊氏は2016年度の公衆無線LAN環境整備支援事業における交付決定団体の中から、学校、観光地それぞれについて以下の事例を取り上げ、来場者は熱い視線を送りながら聞き入っていました。

▽学校
【北海道洞爺湖町】
指定避難所である中学校に設置した無線LANアクセスポイント8台のうち5台は総務省の支援事業を活用。一般避難者用居住スペースの体育館に3台、避難者開放スペースの特別教室に1台、感染者など専用スペースの特別教室に1台。自主財源で整備した3台と合わせ、平時の教育利用によって最大限の効果を引き出す計画。
【長野県飯田市】
避難所に指定された小中学校28校の中から、想定される避難住民の人数や通信基盤の遮断状況などを考慮して、10校に無線LANアクセスポイントを97台設置。うち38台は総務省の支援事業を活用し、学校の音楽室などにWi-Fiを整備。平時には児童・生徒・教職員・保護者を対象に、情報通信リテラシー向上に向けた研修の機会を設けている。

▽観光地
【奈良県橿原市】
日本最大級の伝統的建造物群保護区である今井町に屋外型無線LANアクセスポイントを17台設置。観光ルートを面的にカバーし、訪日外国人観光客などの利便性を向上。一方で、帰宅困難者向け一時避難施設である駅前分庁舎には、屋内型無線LANアクセスポイントを6台設置。被災者が広く通信できる環境を確保。
【秋田県仙北市】
民間事業者の既設の73台と連携させ、伝統的建造物群保護区、自然公園、官公署など7ヶ所に14台の無線LANアクセスポイントを設置。トータルコストを削減して持続可能な通信インフラを構築。災害時には開放し、災害情報の受発信に役立てる計画。

学校・観光地の様々な導入事例の紹介に、販売店、SIer、ユーザーの方々も熱い視線を送った

■無線LAN、ネットワークストレージ。様々な製品群を通して、ICT環境整備に取り組む

セミナー会場後方にはブースを設置し、ICT環境整備のソリューションとなる製品を展示し、スタッフが説明しました。講演で語られたようなWi-Fi環境を実現する無線LANアクセスポイントとしては、教育・廊下への常設で、1クラス40人のタブレット授業でも同時接続の安定通信を実現する「WAPM-2133TR」、校庭でも使用できる防塵・防水性能を持つ屋外型「WAPM-1266WDPR」、試験導入をしやすい低価格で持ち運びにも適した小型筐体「WAPM-1266R」が挙げられます。また、ネットワークストレージ「TeraStation5010シリーズ」は、文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」で必須となった、アクセス制限・ファイル操作ログ・ウィルスチェックなどの機能を備えています。これらの製品を通じて、日本全国のICT環境整備の実現に貢献したいと考えています。

会場後方に設けられた製品ブースでは、防災拠点を活かす安全なWi-Fi環境について説明

バッファローが提案する無線LANアクセスポイント。左から「WAPM-1266R」、「WAPM-2133TR」、「WAPM-1266WDPR

ネットワークストレージ「TS5010シリーズ」。左から「TS5210DNシリーズ」(2ドライブ)、「TS5410DNシリーズ」(4ドライブ)。IEEE802.3bz対応スイッチおよびLANボードとの組み合わせで、既設LANケーブルを活用した低コストでの高速化を実現

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