ICT×観光

訪日外国人の意向や消費行動を知り、ニーズを把握しよう

■2016年より速いペースで2,000万人を突破。増加を続ける訪日外国人

日本はいま「観光立国」を目指しており、積極的に外国人旅行客を誘致しています。訪日外国人は増加していますが、彼らはどのような目的で日本を訪れ、日本に滞在している間、どのように過ごし、どんな消費行動をしているのでしょうか?

観光庁は四半期に一度、「訪日外国人消費動向調査」を公表しています。その最新版(2017年7-9月期の速報値)で、最新の訪日外国人の消費動向をみてみましょう。

以下のような点は、全体的な状況の把握に役立つでしょう。

●訪日外国人旅行消費額は1兆2,305億円。前年同期と比べて26.7%増加。
●国籍・地域別の訪日外国人旅行消費額をみると、中国が5,432億円(構成比44.1%)で最も多く、次いで、台湾1,490億円(同12.1%)、韓国1,361億円(同11.1%)、香港941億円(同7.6%)、米国618億円(同5.0%)の順に多い。
●1人当たりの旅行支出は、平均16万5,412円で前年同期と比べて6.6%増加。国籍・地域別でみると、ベトナム(約26.0万円)、中国(約23.8万円)、フランス(約23.5万円)の順に多い。

同四半期の訪日外国人の数は744万人で、前年同期比で18.8%増加しています。国籍・地域別旅行者数は、中国(約228万人)が最も多く、韓国(約182万人)、台湾(約117万人)が続きます。
2017年は、訪日外国人数が初めて2,000万人を突破した2016年より速いペースでその大台を突破しているという状況で、訪日外国人が増加している状況がわかります。
拡大を続ける外国からの訪日について、その動向を知り、ニーズを理解することで、誘客にもつなげることができるでしょう。

<ココまでのまとめ>
・訪日外国人旅行消費額は1兆2,305億円。前年同期と比べて26.7%増加。
・2017年は、2016年より速いペースで訪日外国人数が初めて2,000万人を突破している。

<参考資料>
観光庁 訪日外国人の消費動向 訪日外国人消費動向調査結果及び分析 平成 29 年 7-9 月期 報告書
日本政府観光局 訪日外客数(2017 年 9 月推計値)

■滞在中に選択率が高いのは「日本食を食べること」――訪日外国人の動向

訪日外国人の動向については、日本を訪れた目的や、国内の来訪地、消費内容など、さまざまな角度からとらえることができます。
例えば、上記の「訪日外国人消費動向調査」では、訪日外国人の訪日目的や日本での消費行動について、以下のような内容が報告されています。

●【来訪目的】は、「観光・レジャー」が75.6%。「業務」が14.2%。
●【訪日前に期待していたこと】(複数回答)は、「日本食を食べること」(67.9%)、「ショッピング」(53.8%)、「自然・景勝地観光」(46.2%)、「繁華街の街歩き」(41.2%)の順で多い。
また、【今回の日本滞在中にしたこと】は、「日本食を食べること」「ショッピング」「繁華街の街歩き」「自然・景勝地観光」の順で選択率が高い。
●【費目別の訪日外国人旅行消費額の構成比】は、買物代(34.2%)、宿泊料金(29.7%)、飲食費(21.1%)の順で多い。
【訪日外国人1人当たりの旅行支出】を費目別にみると、「買物代」が5万7千円と最も高く、次いで「宿泊料金」(4万9千円)、「飲食費」(3万5千円)の順で高い。

滞在したエリアについては、観光庁の「観光ビッグデータを活用した観光振興/GPSを利用した観光行動の調査分析」(2016年3月)も参考になるでしょう。
同資料では、訪日外国人について、携帯電話の基地局情報を活用した観光動態を分析しています。

●東京と大阪に集中する傾向が強い(宿泊時間帯:合計約45%、観光時間帯:合計約41%)
●観光時間帯には、沖縄と北海道が外国人集積比率が比較的高い。
●季節別にみて、北海道と長野県は冬外国人が集まり、沖縄県は夏に集まる。

日本政策投資銀行と日本交通公社の「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(平成29年版)」では、訪問地についてのニーズをうかがい知ることができます。これによれば、地方観光地への訪問意向はアジアや欧米豪で約9割と高く、依然として東京、富士山、京都、大阪など、いわゆるゴールデンルートの認知は高いものの、知床/阿寒や岡山など一部の地方観光地は認知度が向上がみられるといいます。

こうした地方観光地への分散は今後も期待されます。「外国人に人気の観光スポット2017」を発表した旅行サイト「トリップアドバイザー」は、地方都市にも外国人観光客の訪問地が広がっているのがうかがえるとしています。

観光庁の「宿泊旅行統計調査」では、2017年8月の外国人延べ宿泊者数は、646万人泊で前年同月比12.7%増。三大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫)とそれ以外の地方部で外国人延べ宿泊者数の対前年同月比を比較すると、地方部
三大都市圏より高い伸び率を示していることが報告されています。

<ココまでのまとめ>
・訪日外国人の来訪目的は、「観光・レジャー」が75.6%を占め、「日本食を食べる」ことへの期待が高い。
・ゴールデンルートの認知は高いが、地方観光地への関心も高く分散がみられてきている。

<参考資料>
観光庁 観光ビッグデータを活用した観光振興/GPSを利用した観光行動の調査分析
DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(平成29年版)
トリップアドバイザー 外国人に人気の観光スポット2017
観光庁 宿泊旅行統計調査(平成29年8月・第2次速報、9月・第1次速報)

■実際に訪日する外国人の動向を把握して受け入れ環境整備を

ここまでみてきたように、外国人の多くは、観光やレジャーを目的に日本を訪れ、滞在中に日本食を食べたり、ショッピングや景勝地・繁華街の観光をしたりしています。また、地方への関心も高く、訪問地が分散してきていると言えます。
その受け入れ環境の整備や改善・強化にあたっては、実際に日本を訪れる外国人の動向やニーズをとらえることが有効でしょう。

受け入れ対応として基本的で代表的なのは多言語対応。その点や、また、予約・決済などの対応や通信などの点も含めて、問題解決につながるのが、ICT環境の整備です。
ウェブサイトや、タブレット端末などを用いた接客でも多言語対応が求められます。さらに、宿泊や交通、観光には予約がつきものですし、滞在中はあらゆる出費で支払いが発生します。インターネット予約や決済への対応などは、滞在している外国人の利便性に大きく寄与するでしょう。
そして、インターネット利用やネットサービス利用のインフラになるのが通信環境。訪日外国人に通信環境としてWi-Fi環境が求められることは以前も伝えましたが、通信環境は、宿泊場所だけでなく、滞在中どこでも期待されます。飲食店、ショッピングする店、繁華街、観光地だけでなく、移動の交通機関、導線にある施設やコンビニなどでも通信できることが有効と考えられます。

先述の消費動向調査でも、「今回の訪日旅行全体の満足度」は「大変満足」50.1%、「満足」42.3%で、日本への再訪意向では、「必ず来たい」が56.7%、「来たい」が36.6%と高いのです。ICT環境が整備されていることも、訪日外国人の満足度向上に貢献し、リピーター増加にもつながるでしょう。

<ココまでのまとめ>
・訪日外国人の受け入れ環境の整備や改善・強化にあたっては、実際に日本を訪れる外国人の動向やニーズをとらえることが有効。
・ICT環境整備は訪日外国人の利便性に大きく寄与する。満足度向上によるリピーター増加も視野に受け入れ環境整備を。

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