ICT×観光

訪日の多くを占める中国、韓国、台湾、香港。その規模と訪日時に表れる志向とは?

■訪日旅行者数、消費額とも全体の約8割を占める上位5位のうち、4国が東アジア地域

訪日外国人が増加し続けている現在、その消費行動や滞在中の動向を知り、そのニーズをとらえることは、誘客につながるでしょう。
前回、訪日外国人数や日本を訪れた目的、国内の来訪地、消費内容など、全体的な状況についてお伝えしました。今回はより詳しく、国籍別の状況をみてみましょう。

観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、2017年7-9月期の訪日外国人旅行者数は744万人、旅行消費額は1兆2,305億円。それぞれの国籍別上位5位は以下のようになっています。

●訪日外国人旅行者数
1位:中国(228万人、構成比30.6%)
2位:韓国(182万人、同24.5%)
3位:台湾(117万人、同15.8%)
4位:香港(60万人、同8.0%)
5位:米国(32万人、同4.3%)

●訪日外国人旅行消費額
1位:中国(5,432億円、構成比44.1%)
2位:台湾(1,490億円、同12.1%)
3位:韓国(1,361億円、同11.1%)
4位:香港(941億円、同7.6%)
5位:米国(618億円、同5.0%)

旅行者数でも消費額でも、上位5カ国が全体の約8割を占め、どちらも中国、韓国、台湾、香港が上位4位になっています。今回は、これら東アジア地域の4国について、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」「宿泊旅行統計調査」、日本政府観光局(JNTO)の発表をもとにみていきます。

<ココまでのまとめ>
・訪日外国人旅行者数、訪日外国人旅行消費額とも、上位5カ国が全体の約8割を占めている。
・そのどちらにおいても、東アジア地域(中国、韓国、台湾、香港)が上位4位になっている。

<参考資料>
観光庁 【訪日外国人消費動向調査】平成 29 年 7-9 月期の調査結果(速報)

■訪日外国人数及び消費の中心地域。気軽に日本を訪れやすい東アジア

東アジアの4国は全体への影響度も高く、近年の訪日外国人数及び消費の中心地域。上記の「訪日外国人消費動向調査」発表でも、韓国、中国などで訪日外国人旅行消費額が前年同期に比べ増加し、旅行消費額全体を押し上げたと分析されています。

日本政府観光局が公表している「市場動向」によれば、2017年に、4国とも、ほとんどの月でその月の訪日数の過去最高を達成しています。加えて、どの国も2017年内に単月での過去最高を記録しており、訪日数が伸びている状況が分かります。8月には、中国の訪日数が全市場を通じて初の80万人台の大台に乗りました。

日本と地理的に近いことは、東アジア地域の大きなポイントになっていると言えるでしょう。訪日外国人消費動向調査の平成 29 年 7-9 月期の速報値をみると、以下の傾向がみられます。

●滞在日数が短い:2週間以内が4国とも9割程度かそれ以上。韓国は特に短く、1週間以内の滞在が89.7%。
●リピーターが多い:中国を除く3国は「日本への来訪回数」が多い、香港、台湾は特に多く、香港で86.5%、台湾で81.2%が2回目以上の来訪。
●訪日目的に占める「観光・レジャー」の割合が高い: 8割程度かそれ以上が「観光・レジャー」目的に訪日。

実際に、同調査における他の国籍・地域の国々に比べ、よりカジュアルに日本を訪れているとみることができるでしょう。

地方への訪問が多いのも、東アジア地域の特徴と言えます。
2014年の「訪日外国人消費動向調査」で、中国の地方訪問率が7割弱と高いことや、韓国、台湾、香港では地方のみの訪問の比率が高いことが指摘されていました。最新の宿泊旅行統計調査(2017年9月(第2次速報))でも、他の国籍・地域と比べて東京都以外への宿泊が目立ち、首都圏以外への訪問志向がうかがえます。
都道府県別に外国人延べ宿泊者数をみると、東アジア各国の割合の高さが際立っています。例えば、岩手県の70%が台湾から、静岡県の66%が中国から、大分県の57%が韓国から、鹿児島県の38%が香港からの宿泊者となっており、京都府、広島県、岐阜県などを除く多くの都道府県で、宿泊者の半数が東アジア4国で占められているのです。

<ココまでのまとめ>
・東アジア地域各国からの訪日外国人は、数、消費の中心地域。
・他の地域に比べてより気軽に日本を訪れやすく、地方への訪問も多い。

<参考資料>
日本政府観光局 市場動向トピックス
訪日外国人消費動向調査【トピックス分析】平成26年訪日外国人観光客の地方訪問状況
観光庁 宿泊旅行統計調査(平成29年9月・第2次速報、10月・第1次速報)

■今も買い物消費金額が高い中国、九州訪問が多い韓国――国別の特徴

この4国から訪れた人々の傾向や消費行動について、国ごとにより詳しくみてみましょう。

<中国>
・4国の中で唯一初回訪日の割合が高い(57.4%)。
・一人当たりの旅行支出は、全国籍・地域別で2位の23.8万円(平均は16万5,412円)で、他の3国で低いのに比べて高い。そのうち買い物代は1位のベトナムとともに他国籍・地域を引き離して高い。
・全国籍・地域の中で、団体ツアー参加は最も大きく(33.0%)、個別手配は最も小さい(54.7%)。
・購入した土産品を費目別にみると「化粧品・香水」(79.1%)、「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」(72.4%)の購入率が高い。
・最も満足した購入商品で割合が高いのは「化粧品・香水」(29.0%)。
・最も満足した飲食で割合が高いのは「ラーメン」「魚料理」(ともに22.5%)。

<韓国>
・団体ツアーでなく個別手配の割合が多い(85.1%)
・九州各県における宿泊者の割合が高い。
・購入した土産品で「菓子類」の購入率が高い(81.9%)。
・最も満足した購入商品で割合が高いのは「菓子類」(17.9%)。
・最も満足した飲食で割合が高いのは「肉料理」(26.5%)。
・2018年の観光庁の分析によれば、訪日が増加した20代以下の若者は「日本の文化体験を好む」「大阪府への訪問率が高い」

<台湾>
・東北、北陸各県などでの宿泊者の割合が高い。
・購入した土産品で「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」の購入率が高い(77.4%)。
・最も満足した購入商品で割合が高いのは「服・かばん・靴」(22.8%)。
・最も満足した飲食で割合が高いのは「ラーメン」(25.4%)。

<香港>
・鳥取県、鹿児島県、宮崎県、徳島県などでの宿泊者の割合が高い。
・最も満足した購入商品で割合が高いのは「服・かばん・靴」(35.2%)。
・最も満足した飲食の割合は「ラーメン」(22.0%)が高い。

こうした状況や傾向は、東アジア各国からの訪日外国人のニーズを読むための参考になるでしょう。
実際にどのような誘致活動が行われているか、事例をいくつかみてみましょう。JNTOが、ソーシャルメディアでのキャンペーンや旅行サイトとの連携、各国のメディアとのタイアップイベントなどが紹介しています。

●韓国に向け、日本滞在中に撮影した思い出の写真を、Instagram にハッシュタグを付けて投稿しシェアしたユーザーに、抽選で景品が当たるキャンペーンを実施。多数の応募があり、旅行者視点の訪日旅行の魅力発信、今後の情報発信の強化に貢献した。
●香港の民放テレビ局の人気旅行番組で東北地方が取り上げられ、和牛や海鮮などのグルメや観光名所、イベント情報など、東北地方の魅力が放映された。
●中国向けに、旅行先としての東北地方の認知度向上と旅行検討層の増加を目的に、クイズに正解すると東北往復航空券が当たるキャンペーンを実施。中国のSNSであるWeChatとWeiboを通じて広くPRした。

情報発信は直接的な誘致につながるだけでなく、現地メディアやブロガーなどインフルエンサーによる認知向上や情報拡散も見込め、誘客につながる有効な施策になるでしょう。

<ココまでのまとめ>
・同じ東アジア地域でも、国ごとに、購入した土産品や満足した消費に関する傾向がみられる
・ソーシャルメディアでのキャンペーンや旅行サイトとの連携などの施策は誘致につながるだろう。

<参考資料>
観光庁 訪日外国人の消費動向 訪日外国人消費動向調査結果及び分析 平成 29 年 7-9 月期 報告書
観光庁 訪日韓国人観光客の詳細分析―20代以下の若者に着目して―(平成28年)

関連記事

  1. ICT×観光

    訪日外国人の意向や消費行動を知り、ニーズを把握しよう

    ■2016年より速いペースで2,000万人を突破。増加を続ける訪日外国…

  2. ICT×観光

    訪日外国人誘客だけじゃない、お店へのWi-Fi導入メリット

    Wi-Fi環境整備が導入店舗にもたらすメリットとは最近、飲食店など…

  3. ICT×観光

    米国はアジア4国に次ぐ訪日数。日本食が人気、日本文化にも関心――北米・豪州からの訪日

    ■欧州地域よりも訪日における構成比の高い北米豪。3国とも1人当たりの旅…

最近の記事

2018年12月
« 11月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
PAGE TOP