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米国はアジア4国に次ぐ訪日数。日本食が人気、日本文化にも関心――北米・豪州からの訪日

■欧州地域よりも訪日における構成比の高い北米豪。3国とも1人当たりの旅行支出は平均以上

これまで、東アジア東南アジア欧州の国々の訪日の状況や傾向についてみてきました。今回は北米と豪州(米国、カナダ、オーストラリアの3カ国。以下、北米豪)の訪日状況やその特徴をまとめます。

観光庁の「訪日外国人消費動向調査」(平成29年10-12月期の速報値)によれば、訪日外国人旅行者数749万人中、北米豪は約57万人(構成比7.7%)。旅行消費額1兆1,400億円中、北米豪は1160億円(構成比10.2%)となっています。同じ調査の前回(平成29年7-9月期)は744万人中約49万人(構成比6.6%)、1兆2305億円中921億円(構成比7.5%)と、拡大が続いており、最近の構成比のおおよその目安として、欧州地域よりも構成比は高いです。

10-12月期の調査で各国の内訳をみてみると、特に米国が目立ちます。訪日外国人旅行者数では、米国は全国籍中5位で約36万人。構成比で4.8%を占めます。オーストラリアは約14万人、カナダは約8万人です(構成比は1%台)。訪日外国人旅行消費額では、米国は全国籍中5位で656億円(構成比5.8%)、オーストラリアは333億円(構成比2.9%)、カナダは171億円(構成比1.5%)です。
3国とも1人当たりの旅行支出が全国籍の平均152,119円より高額で、特にオーストラリアは全国籍中トップの244,779円。2017年通年でみても、全国籍中トップの中国(230,382円)に次ぐ高額(225,866円)です。

<ココまでのまとめ>
・北米豪からの訪日をみると、米国が特に際立っており、訪日外国人旅行者数、旅行消費額が全国籍中アジア地域の4国に次ぐ5位。
・1人当たりの旅行支出が欧州3国とも平均より高額。

<参考資料>
観光庁 【訪日外国人消費動向調査】平成29年年間値(速報)及び平成29年10-12月期の調査結果(速報)
観光庁 【訪日外国人消費動向調査】 平成29年7-9月期の調査結果(速報)

■2017年、ほぼ毎月過去最高の訪日者数を達成。米国で満足度が高かった和服や民芸品、キャラクター関連商品

北米豪は、欧州同様、アジア地域に比べて地理的に距離がある地域。東アジアや東南アジアの国々と比べると初回訪日の割合は高めで5割以上を占め、そのうち観光・レジャー目的になると7割程度が初めての訪日です。
平均泊数もアジア地域と比べて長めと言えます。際立っているのは、オーストラリアとカナダの滞在期間の長さ。特にオーストラリアは、14日間以上の滞在が40.7%で、全国籍でみてスペインの40.9%に次ぐ割合の高さです。個別手配の旅行の割合の高さもアジア地域と違い8~9割にのぼっています。

日本政府観光局(JNTO)が公表している「市場動向トピックス」によれば、2017年の年計の訪日者数は3国とも過去最高。同年内のほぼ全ての月で過去最高の訪日者数を達成しており、訪日者数が伸びていることがわかります。

消費についても、前述の1人当たりの旅行支出は多さに加え、支出内容の傾向にアジア地域と異なる点がみられます。北米豪は、買物代以外の費目(宿泊料金、飲食費、交通費、娯楽サービス費)が旅行支出に占める割合が平均より高く、買物代の割合が高いアジア地域とは対照的です。欧州と同様に「体験型旅行」「コト消費」の志向がうかがえると言えるでしょう。

「訪日外国人消費動向調査」で訪日数や消費額の高い韓国、台湾、香港、中国、米国における、「最も満足した」購入商品や飲食が調査されていますが、そちらをひもとくと、米国が他国と比べて
・商品:「和服・民芸品」「マンガ・アニメ・キャラクター関連商品」
・飲食:「そば・うどん」「酒」
の割合が高く、日本の伝統的な文化から現代のトレンドまで、関心が高いことがうかがえます。

訪日後の動向について、観光庁「宿泊旅行統計調査」の最新版(平成29年12月・第2次速報、平成30年1月・第1次速報)で訪問地をみると、3国とも欧州同様に、東京と京都での宿泊が目立ちます。2017年通年でみても同様の傾向で、都市圏への訪問が高いのが現状と言えます。

<ココまでのまとめ>
・北米豪は地理的にアジアと比べ遠距離。初回訪日の割合は高く平均泊数も長めで、欧州同様「体験型旅行」「コト消費」の志向がみてとれる。
・米国からの訪日者の満足した商品や飲食から、日本文化への関心がうかがえる。

<参考資料>
観光庁 訪日外国人の消費動向 訪日外国人消費動向調査結果及び分析 平成 29 年 10-12 月期 報告書
日本政府観光局 市場動向トピックス
日本政府観光局 訪日外客数(2017 年 12 月および年間推計値)
宿泊旅行統計調査(平成29年12月・第2次速報、平成30年1月・第1次速報)
宿泊旅行統計調査(平成29年・年間値(速報値))

■旅行支出が伸びているカナダ、広島と長野での宿泊が目立つオーストラリア――国別の特徴と施策事例

これまで挙げてきた資料をもとに、国別に特徴や傾向をみてみましょう。

<米国>
・訪日外国人旅行者数が全国籍中5位で約36万人。
・訪日外国人旅行消費額が、全国籍中5位で656億円。
・1人当たりの旅行支出に占める宿泊料金の割合が、イタリア、インド、英国に次ぐ4位(43.8%)。
・単独訪日の割合が、全国籍中インドに次いで高い(46.4%)。

<カナダ>
・2017年に年間過去最高の訪日人数30万人を突破。
・1人当たりの旅行支出に占める娯楽サービス費の割合が、全国籍中でみてロシア、フランスに次ぐ3位(4.8%)。
・2017年は、1人当たりの旅行支出は全国籍で中国に次ぐ2位(22万5866円)。伸び率も英国に次いで高く、前年比18.5%。

<オーストラリア>
・1人当たりの旅行支出に占める飲食費の割合が、全国籍中でみてベトナム、韓国に次ぐ3位(23.9%)。
・2017年通年でみた1人当たりの旅行支出の中で宿泊料金、飲食費が全国籍中英国に次ぐ2位(宿泊89,065円、飲食50,070円)。娯楽サービスは金額・割合とも全国籍中1位(14,094円で6.2%)。
・2017年は、広島と長野で宿泊する割合が高かった(広島県は中国、米国に次いで9%。長野県は台湾、中国、香港に次いで8%)。

こうした状況や志向は、北米豪各国からの訪日外国人のニーズを知るのに役立つでしょう。
実際に行われている誘致施策誘致施策の例として、JNTOが紹介している事例を紹介します。

●『米国人の心に響く・共感を呼ぶ東北地方の映像』というコンセプトのもと、初訪日の
米国人インフルエンサー4名を起用して東北地方のプロモーションビデオを制作し、 JNTO 米国ウェブサイト内「Go:Tohoku」で公開。
●カナダの訪日スキー旅行への関心の高まりを受けて、スキー旅行商品を取り扱う旅行会社等を招請し、関連施設を視察するスキーファムトリップを実施。これに合わせ、ウェブサイト上に訪日スキーに関する特設サイトを公開。
●オーストラリアの訪日意欲喚起の取り組みの一環としてキャンペーンサイト「Japan’s Ultimate Travel Guru」を開設。Facebook などに広告を掲載し、サイトへの誘導を図った。サイトでは、訪日時の体験談や撮影した画像などもシェアされている。

Webプロモーションを中心に取り上げましたが、現地イベントへの出展や、商談会・セミナーなども多く実施されています。豪を除く北米向けの取り組みでは、スキー需要を受けた訴求などを代表に、地方の自然やアウトドア活動のPRが目立っています。誘客に当たっては、こうした点は注目ポイントとして参考になるでしょう。

<ココまでのまとめ>
・北米豪向けのプロモーションはWeb中心のものが多く目立つ。
・特に北米向けには地方の自然やアウトドア活動のPRが行われている。

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