ICT×教育

「新学習指導要領」に対応。自治体や学校の課題に合わせた無線LANネットワーク環境整備を提案――EDIXレポート

2018年5月16日から18日にかけて、東京国際展示場(東京ビッグサイト)にて、「第9回 教育ITソリューションEXPO(EDIX)」が開催されました。教育分野における国内最大の専門展である同展。今年は「第1回 学校施設・サービス展」も同時開催され、700社が出展し、3日間で32,000人を超す来場がありました。業務支援、セキュリティー、eラーニング、ICT機器、教材・教育コンテンツなど教育関連のソリューションに加えて、プログラミング教材やAIなど最新の学びに向けた教材やサービスの展示もあり、来場した学校・教育関係者の注目を集めました。

バッファローは今年も同展に出展。2020年の新学習指導要領実施を目前に控え、各学校の状況に合わせた通信環境整備方法を提案し、展示と併せて、積極的にこの課題に取り組まれている学校や教育委員会の先生方の特別講演も開催しました。

■教育現場の課題に合わせたネットワーク環境整備を提案――ブース展示

無線LANアクセスポイントのラインナップを拡充し、導入規模、予算、など学校のさまざまなニーズに対応。例えば、最も小規模な「WAPM-1266R」(右端)を用いた提案では授業毎に教室間に持ち運ぶ低コストな運用も可能

今回の提案の焦点の大きな1つは新学習指導要領への対応。実施まで2年を切り、いよいよこれに合わせたICT環境整備が急がれます。また、学校など公共施設は、防災拠点として、災害時の通信手段提供のための無線LAN環境整備も求められています。

こうした状況を踏まえ、出展ブース内の展示スペースでは、【「学び」を支えるネットワーク環境】をテーマに、各学校で無線LANなどネットワーク環境整備の障壁となっているさまざまな課題を解決する提案や、導入規模に合わせた柔軟な対応方法を展開。タブレット授業をスムーズに進行できる全教室設置型の提案をはじめ、総務省の防災事業を利用した機器導入、低予算で可能な可搬型の導入スタイル、文部科学省のセキュリティーガイドラインの対応製品などをそれぞれ紹介しました。
また、教育委員会が地域の学校をまとめて管理することで、各校の負担を軽減し、足並みの揃ったICT活用推進や、障害発生時の遠隔サポートが可能になることから、集中管理できる自治体モデルを打ち出しました。

ブースを訪れた学校・教育関係者の方々にスタッフが説明

今夏発売予定の「FS-M1266」(左)は防災時の公衆無線LAN化に対応し、総務省「平成30年度公衆無線LAN環境整備支援事業」の補助金交付の無線LAN機器要件に適合

IoTを利用した校内監視提案も参考展示。センサーを活用することで、入退出管理やCO2濃度モニタリング、出欠管理や備品管理が可能になる

バッファローの無線LANはEDIXの他社ブースでも活躍。製品展示のほか、模擬授業などで各ブースの通信環境を支えた(【左】エプソン販売様ブース/【右】ガイアエデュケーション様ブース)

■1人1台のタブレット授業を実現するため、無線LANアクセスポイントの性能を2年かけ徹底検証――新宿区教育委員会特別講演

ブースでは、先行して教育のICT化に取り組んできた学校・教育委員会の先生方による特別講演も実施され、参考になるお話が語られました。5月17日には、東京都の新宿区教育委員会 事務局 教育支援課 教育活動支援係の倉坪 耕作氏が登壇。「「”学び”を広げる」新宿版教室のICT化」と題し、同区の大規模導入事例について講演しました。

新宿区教育委員会 事務局 教育支援課 教育活動支援係の倉坪 耕作氏。2015年頃、それまでに整備していた環境に課題が持ち上がっており、教育用ネットワークを再構築した

東京都新宿区は、区立の小・中・特別支援学校全40校、児童生徒数1万1500人を抱えています。さらなるICT環境の充実を図るため、2017年に教育用の無線LANネットワークを強化し、最新のICT機器への更新を実施。教員用/児童・生徒用のタブレットPC、電子黒板機能付きプロジェクター、最新の実物投影機を導入し、すべての教室で1人1台のタブレットPCを使った授業が可能となりました。無線LANネットワーク環境の整備にあたっては、バッファローの無線LANアクセスポイント「WAPM-1750D」を全校に合計932台導入。ネットワーク管理ソフトウェア「WLS-ADT」も導入し、データセンターで全校の無線LANネットワークを一括管理できる環境を構築しています。

同区では、2009年度から整備していたICT環境が、機器の旧式化により先生方の要望に応えられなくなってきたこと、メーカーの保守の限界だったこと、そして授業での活用がなかなか進んでいなかったことから、機器の更新を決定したといいます。機器を導入するだけでは現場で活用が進まないため、教育委員会主導で「学びを広げる」というコンセプトを策定し、これを実現する整備を進めました。大規模な機器導入に先立ち、「1人1台のタブレットPCを活用できる環境にするために、無線LANアクセスポイントが一番のキモだろう」ということで、2年もの期間をかけて性能を検証したそうです。

無線LANアクセスポイントについて、さまざまなメーカーの協力のもと、41台(普通教室で使用されるタブレットPCの最大数)のタブレットPCで通信速度を検証した

無線LANアクセスポイントにバッファローの「WAPM-1750D」を選んだポイントでは、速度や授業の支障にならない通信の安定性とともに、同機器に2つの有線LAN端子を備えていたことを挙げます。これにより、それまで有線でプロジェクターや実物投影機に必要だった配線設備や工事を減らし、工数や工事期間を大きく短縮できたといいます。
また、データセンター集約も大きなポイントでした。従来はPC教室にファイルサーバーやネットワーク機器を置いており、これらの機器の発熱対策のため空調を24時間稼働しなければならなかったり、各校に担当者を置くなど管理が学校の負担になっていました。データセンター化によりこれを解消し、設定変更なども一括管理できるようになりました。

整備後には、学校訪問時に活用されている様子をみて、教員や児童・生徒、全員が使いやすいICT環境が整備されたのが分かったそうです。タブレットに集中している児童の姿や笑顔をみせる学校の子どもたちの写真を挙げながら、倉坪氏は「こういう授業をみると、本当に泣きそうなくらい嬉しいという思いがある」と語っていました。
導入機器を現場で活用されるのが第一。導入後、活用を促すため、今年も教員向け研修を予定しているとのことです。

■目標までまだ遠い無線LAN整備の現状。各学校の課題を解決しICT環境を実現

文部科学省が2017年12月末に公表した「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」では、第2期教育振興基本計画で設定された目標までまだ遠い現状が明かされました<参考:無線LAN整備率は29.6%。学校のICT環境整備の実態>。普通教室の無線LAN整備率は、計画目標100%に対して29.6%。新指導要領実施までもう2年を切り、いよいよこれに合わせたICT環境整備が急がれます。

バッファローは、各学校で機器導入の妨げになっているさまざまな課題に対応した製品を揃え、多くの導入実績と培ったノウハウで教育現場のICT化を支援することで、新教育指導要領実施以降の教育を支えるICT環境実現のお手伝いをしていきたいと考えています。

<参考資料>
新宿区教育委員会 様 導入事例

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