ICT×観光

食、温泉、酒、アニメ……「テーマ別観光」を促進し、地方誘客を図る取り組み

■観光庁が「テーマ別観光による地方誘客事業」で17件を選定

訪日外国人は増加傾向にあり、日本経済の活性化の一翼を担うことが期待されています。2017年の訪日外国人旅行者数は2869万人。政府は、2020年に4000万人、2030年に6000万人の訪日外国人観光客数を目標に掲げており、さらなる誘客促進が求められます。

今後の誘客で、今後大きなカギになると考えられているのが地方への誘客です。その促進策の1つとして、観光庁が支援する「テーマ別観光による地方誘客事業」があります。
この5月には、同事業における2018年度の選定テーマが発表されました。今回はこの取り組みを取り上げて紹介します。

<ココまでのまとめ>
・2017年の訪日外国人旅行者数は2869万人。増加傾向にあり、日本経済の活性化のため、さらなる誘客促進が求められている。
・観光庁は「テーマ別観光による地方誘客事業」に取り組んでおり、2018年度の選定テーマが発表された。

<参考資料>
観光庁 「テーマ別観光による地方誘客事業」を17件選定しました

■特定の観光資源を有する地域のネットワーク化を促進、情報発信力を強化

観光庁の「テーマ別観光による地方誘客事業」は、特定の観光資源を活用して地方誘客を図ることを目的として、2016年度から、テーマを選定し、そのテーマにおける複数地域のネットワーク形成や観光振興を支援しています。特定の観光資源が、訪日外国人旅行客や国内の観光客がその地を訪れる動機になるような「テーマ別観光」のモデルケースの形成を促進し、選定されたテーマで共通する複数地域において、地域連携協議会の設置、ネットワーク化促進、情報発信力の強化などを通して、観光振興を図っているのです。

実際に同事業で実施できる取り組みの例として、
●観光客のニーズや満足度を調査するためのアンケートやモニターツアー
●調査等で得られた知見をマニュアル化して共有するなど観光客の受入体制の強化や旅行商品の造成
●調査等を踏まえた情報発信(共同Webページ、パンフレット、マップの作成、および、旅行博などへの出展やSNS等を用いた各種PR)
●同じテーマを観光資源にする団体や地域の実態調査やシンポジウムやセミナーの開催など、ネットワーク拡大に向けた取り組み
が挙げられ、必要な経費について、観光庁が支援しています。

こうした取り組みで、特定のテーマに関心の高い旅行者に、より魅力的な旅行を提供することや、旅行者の複数地域への来訪需要の創出、地域間での課題や成功事例の共有を通じた効果的な観光振興の推進が期待されています。

■「酒蔵」「ロケ地」特色ある資源を活かす各テーマ

最新となる2018年度事業の公募では、全国から40件の応募があり、審査の結果17のテーマが選定されました。2016年度からの継続選定テーマ6件、2017年度からの継続選定テーマ7件に加え、テーマの魅力やネットワークの全国性などを踏まえ、新たに4件が選定されました。
幾つか選定テーマをみてみましょう。
「酒蔵ツーリズム」
「アニメツーリズム」
「郷土食探訪~フードツーリズム~」
「ONSEN・ガストロノミーツーリズム」
「サイクルツーリズム」
「ロケツーリズム」

例えば末尾の「ロケツーリズム」は、「映画・ドラマのロケ地を訪ね、物語の世界にひたり、その地域のファンになること」を定義とし、ロケ地を観光資源として活用した地域の活性化や、「ロケ地行楽度の向上」「ロケ支援度の向上」による旅行客の増加を目指しています。実際の取り組み内容としては、ロケによる観光客増加周遊促進、ロケ地マップやツアープランの作成、官民一体による地域の魅力発信などを実施。地域間でノウハウをマニュアル化することで各地域の成功事例を共有し、効果的な観光振興策を推進したり、情報を集約して発信し複数地域への来訪需要を創出しようとしています。

<ココまでのまとめ>
・「テーマ別観光による地方誘客事業」では、特定の観光資源を活用して地方誘客を図ることを目的に、テーマを選定し観光振興を支援している。
・例えば「ロケツーリズム」は、ロケ地を観光資源として活用した地域の活性化や観光客の増加を目指している。

<参考資料>
観光庁 テーマ別観光による地方誘客事業
http://www.mlit.go.jp/common/001232980.pdf
http://www.cao.go.jp/cool_japan/kaigi/renkeirenraku/2/pdf/siryou2-8-2.pdf

■WebページやSNSを活用し、積極的に情報発信

では、これらのテーマ別観光の振興に取り組むにあたって、ICTはどのような活用の可能性があるでしょうか。
前述した同事業で実施できる取り組みの例にも挙がっていますが、WebサイトやSNSを活用することは、情報発信という点で効果が見込まれ、実際に多くの選定テーマで実施されています。その中から2つ取り上げて紹介します。

<酒蔵ツーリズム>
酒蔵ツーリズムとは、各地方の酒蔵を巡り、蔵人とふれあい、彼らがつくる酒を味わい、その酒が生まれた土地を散策しながら食や文化、歴史を全身で楽しむこと。同事業で「酒蔵ツーリズム推進協議会」が組織化され、民間事業者とも連携。例えば、アサツーディ・ケイとの連携プロジェクトでは、WebページやFacebookを通じた情報発信を行い、酒蔵ツーリズムの魅力を国内外にPRしている。

<アニメツーリズム>
日本のアニメや漫画は、クールジャパン・コンテンツとして世界的に注目されている。全世界のファンがアニメや漫画の舞台やゆかりの地を「アニメ聖地」と呼び、来日時に訪問したいというニーズは高まっており、アニメツーリズム協会は、オフィシャルに「アニメ聖地」88か所を選定し、情報を公式サイトや SNS 公式アカウントで国内外に発信。今後設置されるアニメスポットやサービス、商品、地域の観光情報も積極的に同サイトや SNSで発信している。公式アカウントでも使用されている「#聖地巡礼」「#アニメ聖地」や作品にちなんだタイトルやキーワードを用いたハッシュタグは、各地を訪れた観光客によって、TwitterやInstagramなどで積極的に投稿されている。

特に海外向けの情報発信には、インターネットの活用は効果が高く、また、比較的取り組みやすいと言えるでしょう。それだけでなく、観光客のニーズや満足度を調査するアンケート、遠隔地などとのネットワーク形成や情報共有にも、インターネットは活躍し得ります。こうした取り組みを通して、地方誘客が促進されることが期待されます。

<ココまでのまとめ>
・「酒蔵ツーリズム」「アニメツーリズム」など多くの選定テーマで、WebサイトやSNSを活用した情報発信が実施されている。
・ICTを活用した情報発信やネットワーク形成や情報共有なども通じて、地方誘客が促進されることが期待される。

<参考資料>
観光庁 酒蔵ツーリズム
日本酒蔵ツーリズム推進協議会
酒蔵ツーリズム推進協議会 酒サムライ サポーターズクラブ
アニメツーリズム協会 聖地88か所

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