ICT×観光

訪日外国人旅行者数4,000万人達成に向けて。Wi-Fi環境整備で「誰もが一人歩きできる環境」を

■「既成概念にとらわれない大胆な施策」――政府が「観光ビジョン実現プログラム2018」を策定

2018年6月、政府が「観光ビジョン実現プログラム2018」を策定しました。この「観光ビジョン実現プログラム」は、観光立国の実現に向けた施策をとりまとめたもので、毎年発表されています。

政府は2020年に訪日外国人旅行者数を4,000万人にするという目標を掲げています。今回の「観光ビジョン実現プログラム2018」は、その目標を達成し、世界が訪れたくなる日本にすることを目指しています。新たな観光ビジョンや、閣議決定された「観光立国推進基本計画」の内容を踏まえて検討を重ね、政府の今後1年を目途とした行動計画として発表されたもので、政府は、「既成概念にとらわれない大胆な施策を打ち出した」としています。

<ココまでのまとめ>
・政府が、観光立国の実現に向けた施策をとりまとめた「観光ビジョン実現プログラム2018」を策定
・世界が訪れたくなる日本を目指した今後1年を目途とした行動計画

<参考資料>
観光庁 「観光ビジョン実現プログラム2018」(観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログラム2018)を策定しました!

■重要な「個人旅行者のニーズへの対応」「地方への誘客」「「コト」消費への対応」

政府は、2017年9月から2018年6月にかけて、「観光戦略実行推進タスクフォース」を開催し、急速に進む個人旅行化と、それに伴う地方への展開、体験型観光への関心、など、インバウンドの変化に対応した高次元の施策の具体策について、有識者の意見を踏まえて検討してきました。その結果、「観光ビジョン実現プログラム2018」が決定されています。

2017年、訪日外国人旅行者数は2,869万人で、旅行消費額は4.4兆円。5年連続で過去最高を記録してきています。こうした状況を受けて、「観光ビジョン実現プログラム2018」では、「いよいよ 2020 年 4,000 万人という政府の目標が視野に入ってきた」とし、今後重要となる点として
●増加する個人旅行者のニーズに的確に対応し、地方への誘客を更に推し進めること
●「モノ」消費から「コト」消費への移行を踏まえ、インバウンド消費を更に拡大していくこと
を挙げています。

具体的にどのような内容かみてみましょう。
まず、その中で、観光先進国実現のための新たな3つの柱として、
①観光資源の保存と活用のレベルアップ:魅力ある公的施設・インフラの大胆な公開・開放など
②世界水準の旅行サービスの実現:新幹線における無料 Wi-Fi 環境の整備など
③JNTO・DMOの大胆な改革:欧米豪を中心とするグローバルキャンペーンの推進や DMO(観光地域づくりの舵取り役を担う法人等)へのコンサルティング強化など
が打ち出されています。

「観光資源の保存と活用のレベルアップ」には、赤坂・京都迎賓館、三の丸尚蔵館、桂離宮をはじめとする魅力ある公的施設やインフラの公開・開放、文化財の多言語解説の充実やVR等最新技術による日本文化の魅力発信等による文化財の観光資源化、国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化、ナイトタイムの活用や観戦型スポーツのインバウンド対応など新たな体験型コンテンツの観光資源として掘り起こしや開拓、などが含まれています。

「世界水準の旅行サービスの実現」には、顔認証技術を活用した自動化ゲートやバイオカートの導入空港の拡大など最先端技術を活用した革新的な出入国審査、2018年度中の全新幹線での無料Wi-Fiサービス開始など公共交通利用環境の革新、羽田空港と成田空港の発着容量の世界最高水準(年間約100万回)への拡大など地方空港のゲートウェイ機能強化とLCC就航促進、などが含まれています。

「JNTO・DMOの大胆な改革」には、地域の観光資源に精通し、地域と協同して観光地域づくりを行うDMO(Destination Management Organization)の仕組みの構築や、各DMO間の適切な役割分担に基づく広域的な連携の促進、JNTO(日本政府観光局)によるDMOへのコンサルティング強化、JNTOの訪日プロモーションの高度化、多様な魅力の対外発信強化などが含まれています。

ほかにも、Wi-Fiなど通信環境の飛躍的向上などを通じた誰もが一人歩きできる環境の実現、観光関係の規制・制度の総合的な見直し、健全な民泊サービスの普及や宿泊施設のバリアフリー化推進、中国、インド、ロシア等に対する一層のビザ緩和などが挙げられています。
<ココまでのまとめ>
・日本は、2017年まで5年連続で過去最高を記録。2020 年 4,000 万人の政府目標が視野に
・観光先進国実現に向け、観光資源の活用や、通信環境の向上を通じた誰もが一人歩きできる環境の実現などを提言

<参考資料>
「観光ビジョン実現プログラム2018」(観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログラム2018)の概要
観光ビジョン実現プログラム 2018-世界が訪れたくなる日本を目指して-(観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログラム 2018)

■Wi-Fi環境整備を推進し、「誰もが一人歩きできる環境の実現」を

ここまで挙げた中でも、各所でIT技術の活用が盛り込まれており、ITが担う役割の大きさが分かります。その中から、Wi-Fiに関連する内容に注目してみます。

●旅館等のインバウンド対応支援
旅館、ホテル等宿泊施設に対するインバウンド対応促進支援(Wi-Fi環境整備、多言語化対応等に係る整備事業に要する経費の1/3(上限100万円)を支援)を行い、訪日外国人旅行者の滞在時の快適性向上を通じて、多様なニーズに合わせた宿泊施設の提供を促進。

●2020年までに、主要な観光・防災拠点における重点整備箇所(推計29000箇所)への無料Wi-Fi環境の整備を推進
災害時に必要な情報伝達手段を確保する観点から、防災拠点等におけるWi-Fi環境について、2019年度までに約3万箇所の整備を推進する。

●2018年までに、20万箇所以上で事業者の垣根を越えてシームレスにWi-Fi接続できる認証連携の仕組みを構築
訪日外国人旅行者に分かりやすい共通シンボルマーク「Japan. Free Wi-Fi」をウェブ
サイトやステッカー等の掲出物を通して普及・活用を図る。

●ドライブ観光の促進のため、「道の駅」の電気自動車(EV)の充電施設及びWi-Fiの整備を促進する。

ほかに、新幹線、空港、クルーズ船ターミナルなど、交通機関におけるWi-Fi環境拡充も盛り込まれています。また、災害用統一SSIDを利用した災害時のWi-Fi無料開放を促進することも、引き続き行われていきます。

「誰もが一人歩きできる環境の実現」にWi-Fi環境整備が挙げられているように、Wi-Fiは訪日外国人の滞在時の利便性・満足度向上のための期待が伺えます。今後更なる拡充が進められようとしています。

<ココまでのまとめ>
・宿泊施設、観光・防災拠点、交通機関、道の駅のWi-Fi環境整備を提示
・訪日外国人の滞在時の利便性・満足度向上のために、Wi-Fiの更なる拡充が進められようとしている
【関連リンク】
進まない旅館のインバウンド対策。訪日外国人増加に伴い求められる環境整備【シリーズ「日本の観光立国とICT」】
公衆無線LANがたくさんあって認証が面倒?――サービスを相互接続する取り組み「Wi-Cert」
観光客向けWi-Fi設置の宿泊施設・自治体の例【シリーズ「日本の観光立国とICT」】
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