ICT×教育

政府が今後5年間の教育政策。学習者用コンピューターや無線LAN の整備の測定指標を明示

■「可能性」と「チャンス」を最大化することなどを教育政策の重点事項に

2018年7月、文部科学省は、新学習指導要領実施に向けた学校のICT環境整備について通知しました。これは6月に閣議決定された「第3期教育振興基本計画」を踏まえたもので、各地方公共団体による計画的な学校のICT環境整備の加速化を促そうとしています。

これまでの経緯を振り返ると、まず前期にあたる第2期の教育振興基本計画や「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画(平成26~29年度)」で打ち出されたICT環境整備について、各学校の実態調査の結果が2017年12月に公表されました。続けて、「平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」も提示されています<リンク http://topics.buffalo.jp/?p=1683 >。この整備方針を受けて、2018~2022年度の5か年計画が策定され、財源を確保した流れを経て、今回、学校のICT環境整備について、前期に続く第3期の具体的な計画が設定されたのです。

第3期教育振興基本計画は、2030 年以降の社会の変化を見据えた教育政策の在り方を示すものと位置づけられ、教育政策の重点事項として下記を挙げています。
・「超スマート社会」(Society 5.0 狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、人類史上5番目の新しい社会)の実現に向けた技術革新が進展するなか「人生100年時代」を豊かに生きていくためには、「人づくり革命」、「生産性革命」の一環として、若年期の教育、生涯にわたる学習や能力向上が必要
・教育を通じて生涯にわたる一人一人の「可能性」と「チャンス」を最大化することを今後の教育政策の中心に据えて取り組む

<ココまでのまとめ>
・文部科学省が、「第3期教育振興基本計画」を踏まえて学校のICT環境整備について通知した。
・第3期教育振興基本計画では「超スマート社会」に向かうなか「人生100年時代」を見越して、教育政策の重点事項を設定している。

<参考資料>
第3期教育振興基本計画を踏まえた,新学習指導要領実施に向けての学校のICT環境整備の推進について(通知)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1407394.htm
学校におけるICT環境の整備について(教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018(平成30)~2022年度))
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1402835.htm
第3期教育振興基本計画
http://www.mext.go.jp/a_menu/keikaku/detail/1406127.htm

■学習者用コンピューター、超高速インターネット、無線LANの整備の測定指標を設定

第3期教育振興基本計画では、教育政策の目標と施策の一つに「ICT利活用のための基盤の整備」を掲げています。ここでは、初等中等教育段階における、
① 情報活用能力の育成
② 主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に向けた各教科等の指導におけるICT活用の促進
③ 校務のICT化による教職員の業務負担軽減及び教育の質の向上
④ それらを実現するための基盤となる学校のICT環境整備の促進
に重点を置いています。もちろん、高等教育段階でも教育の質向上の観点からICTの利活用を積極的に推進するとし、また、ICT活用で生涯を通じた学習機会の提供を推進することを挙げた上で、整備について以下の指標を設定しています。

(測定指標)
・教師の ICT 活用指導力の改善
・学習者用コンピューターを3クラスに1クラス分程度整備
・普通教室における無線 LAN の 100%整備
・超高速インターネットの 100%整備
・ICT を活用した教育を実施する大学の割合の改善
(参考指標)
・児童生徒の情報活用能力
・校務の ICT 化による教職員の業務負担軽減の効果

<ココまでのまとめ>
・第3期教育振興基本計画では、今後5年間の教育政策の目標と施策の一つに「ICT利活用のための基盤の整備」を掲げている。
・同計画では、「学習者用コンピューターを3クラスに1クラス分程度」などの整備指標が新たに示されている。

■無線LANの普通教室への整備は2020年度までに100%に

冒頭に挙げた7月公表の通知が、第3期教育振興基本計画でICTの利活用について具体的な政府全体の方針として設定されたことを受け、無線LANの普通教室への整備を2020年度までと明確に期限を設け、以下のKPIを設定しています。
・無線LANの普通教室への整備:100%
・学習者用コンピューター:3クラスに1クラス分程度整備
・都道府県及び市町村における学校のIT環境整備計画の策定率:100%
・授業中にITを活用して指導することができる教員の割合:100%

整備における財源の面では、2018~2022年度の5か年計画で、この期間に単年度1,805億円の地方財政措置を講じることとされています。そこで、各自治体に、前述してきた方針とこの措置を踏まえて、学校のICT環境の整備と教師のICT活用指導力の向上を促しています。

7月の通知では、2017年12月の実態調査で、大多数の学校で目標とする水準を達成しておらず、地方公共団体間でも大きな格差があることから、状況は未だ不十分であると課題感が露わになりました。一連の発表で触れられている今後5年の教育政策のなかでも、まずは2020年度の新学習指導要領に向け、新たに示された指標を達成しようという流れになっています。新学習指導要領実施を目前に控え、児童生徒の学習や教職員の校務に支障をきたすことのないよう
ICT環境が整備されることが求められます。

<ココまでのまとめ>
・7月の通知では、2020年度までに、無線LANの普通教室への整備や自治体における学校のIT環境整備計画の策定率を100%とすることなどをKPIとしている。
・2017年12月の実態調査では、大多数の学校で目標とする無線LAN整備率を達成しておらず、地方公共団体間でも大きな格差がある現状が明らかになった

<参考資料>
政府の成長戦略における教育の情報化に関するKPI
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/20/1407394_9_1.pdf

新学習指導要領を踏まえた学校のICT環境整備の推進について
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/20/1407394_10_1.pdf

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