ICT×教育

教職員の働き方改革を支える「統合型校務支援システム」とは?

学校教職員の多忙化は問題になっており、学校の働き方改革は喫緊の課題です。以前紹介したように<リンク http://topics.buffalo.jp/?p=1712 >、学校における業務改善について、文部科学省は「校務の情報化」を掲げ、「校務支援システム」の導入を促してきました。

先ごろ、文部科学省が「統合型校務支援システムの導入のための手引き」を公開しました。統合型校務支援システムは、学校の働き方改革においてその活用による業務の効率化などで、教員業務の質的転換や児童生徒に必要な総合的な指導を持続的に行うことに寄与すると期待されています。

■校務支援システム、「統合型」はデータの連携・共有で業務をより効率化

文部科学省では、「統合型校務支援システム」(以下、統合型)以前に「校務支援システム」(以下、従来型)の導入を促していました。従来型は、2011年に示された「教育の情報化ビジョン」中で、2020年度までにすべての学校に普及することが目指されていました。

従来型と統合型はそれぞれ、どのようなシステムなのでしょう。

文部科学省が毎年、学校におけるICT環境の整備状況などについて公表している「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」によれば、

従来型:校務文書に関する業務、教職員間の情報共有、家庭や地域への情報発信、服務管理上の事務、施設管理等を行うことを目的とし、教職員が一律に利用するシステム
統合型:教務系(成績処理、出欠管理、時数等)・保健系(健康診断票、保健室管理等)、指導要録等の学籍関係、学校事務系など統合して機能を有しているシステム

とされています。
同調査は、2011年度から従来型の整備状況を、2015年度からは統合型の整備状況を、教育の情報化の実態把握の指標として記載しています。統合型は従来型の上位に当たるものと位置づけられていると言えるでしょう。

2016年に公表された「校務支援システム 導入・運用の手引き」では、二つのシステムの具体的な違いとして、
———————-
校務支援システムであっても、統合型ではない場合(成績管理を行うソフトウェア、保健管理を行うソフトウェアが個別に存在している場合等)、それぞれに名前等を登録する必要があり、もし名前が変更になった場合はそれぞれのソフトウェア上で変更する必要があります。統合型校務支援システムの場合、1か所で名前の変更を行えば、機能ごとに変更する必要はありません。
———————-
などと、複数の機能・帳票の連携によるデータ活用の利便性について説明し、統合型が教員の校務改善により貢献しうることを示しています。

例えば、スズキ教育ソフトは、同社の校務支援システム「スズキ校務シリーズ」<リンク http://www.suzukisoft.co.jp/products/sk/index.htm >について、 “トータルな情報化”によって、転記の手間やミスを防ぎ、各ソフト間のデータの連携・共有で業務を効率化が進むとして、「指導要録作成」「通知表発行」などといった実際の校務に沿って活用できることを示しています。

<ココまでのまとめ>
・「統合型校務支援システム」以前には、「校務支援システム」が教育の情報化の実態把握の指標になっていた。統合型は従来型の上位に当たるものと言える。
・「統合型」は複数の機能・帳票の連携によるデータ活用で業務のさらなる効率化が期待できる。

<参考資料>
学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1287351.htm

校務支援システム導入・運用の手引き
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/04/06/1369638_2_1_01.pdf

■大「統合型」はAPPLICのマークが目安。大阪市で教員1人1日平均56分業務時間を削減

今回発表された「統合型校務支援システムの導入のための手引き」では、統合型について、APPLIC(一般財団法人地域情報化推進協会)が策定した「教育情報アプリケーションユニット標準仕様」に完全準拠し、準拠登録・相互接続確認製品マークを受けたパッケージ製品の導入を推奨しています。この製品であれば、将来的なシステム更改で別の統合型のパッケージ製品へ移行する際に移行がスムーズになるからです。

同仕様に準拠したものとして、前出のスズキ校務シリーズのほかに以下のようなものがあります。
・内田洋行「デジタル校務 データ連携ユニット」
<リンク http://school.uchida.co.jp/index.cfm/19,826,63,html
・NTT東日本「Bizひかりクラウド おまかせ校務」
<リンク https://business.ntt-east.co.jp/service/omakase-koumu/
・EDUCOM「EDUCOM マネージャーC4th」
<社名リンク http://www.educom.co.jp/EDUCOM/

また、同手引きでは、導入の意思決定を行う部局や予算当局などへ説明する際に示せる定量的効果をまとめ、具体的に、導入段階や個別業務における成果や効果なども紹介しています。
大阪府大阪市は、統合型を活用して、指導要録などの作成をはじめ電子承認・電子保存の運用を実施。紙ベースでの手続きや処理、保管の時間や手間を削減し、業務改善、省コスト・省スペースも実現し、校務 ICT化の先進的な事例となっています。同市は、統合型の導入によって教員1人あたり224.1時間/年(1日平均で56分)削減したといいます。

<ココまでのまとめ>
・統合型導入の手引きでは、APPLIC策定仕様に準拠したパッケージ製品の導入を推奨している。
・大阪市は、統合型の導入後、教員1人あたり224.1時間/年(1日平均で56分)削減した。

<参考資料>
統合型校務支援システムの導入のための手引き
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1408684.htm

全国地域情報化推進協会(APPLIC) 準拠登録製品一覧 (教育情報アプリケーションユニット)
https://www.applic.or.jp/jigyo/jigyo-2/ata/entry/unit_education_2017

■統合型の整備率は52.5%。予算確保や体制整備が課題

現在、学校では統合型はどの程度整備されているのでしょう。
「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」の現時点の最新となる2017年度(2018年3月現在)の確定値では、52.5%。昨年(48.7%)より導入率は上がっていますが、まだ半数を超えた程度です。

「統合型校務支援システムの導入のための手引き」には、各自治体が統合型を導入していない理由として、導入したいが「予算を確保できない」「調達できるだけの事務体制がない」といった調査結果が挙げられています。また、「導入の必要性を感じない」と、システムに対する理解の不足や導入を推進する体制、人材の不足も課題となっていることが示されています。
こうした課題を解消し、システム導入の目的である教師の業務効率化と負担軽減が実現することが期待されます。

<ココまでのまとめ>
・統合型の整備状況は52.5%と、まだ全体の半数を超えた程度。
・「予算が確保できない」「調達できるだけの事務体制がない」が、統合型を導入したい自治体での導入が進まない理由になっている。

<参考資料>
平成29年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/10/30/1408157_001.pdf

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