ICT×店舗

「軽減税率制度への準備はほとんど進んでいない」――急がれる消費増税対応

前回までの2回でみてきたように、消費増税、働き方改革への対応などのため、店舗のICT化が求められており、行政もそれを推進すべく、支援・補助する制度を用意しています。
では、現在、店舗のICT化はどの程度進んでいるのでしょうか。

特に差し迫った課題となるのが消費増税対応。店舗では軽減税率に対応したレジなどシステムの整備が必要になり、消費税率の引き上げと消費税の軽減税率制度が実施予定の2019年10月まで期間がなくなってきています。そこで今回は、消費増税対応に焦点を当てて、その状況をみてみましょう。

■約8割が軽減税率の準備に未着手。7.6%が準備完了

消費増税対応状況の現状を知るための参考データとして、日本商工会議所が2018年9月に発表している「中小企業における消費税の価格転嫁および軽減税率の準備状況等に関する実態調査」があります。同調査では、各地商工会議所管内の会員企業を対象に2018年6~8月に実施されており、3,277の事業者から回答を得ました。

これによれば、軽減税率の準備に取りかかっていない企業は81.2%にものぼります。その内訳は「準備が必要かわからない」(27.7%)、「準備を始めようと思うが、何から取り組めばいいかわからない」(28.7%)、「専門家等に相談を始めているが、準備には取り掛かっていない」(24.8%)となっています。準備に取り掛かっている企業の回答の内訳が、「専門家等に相談し、準備を始めている」(11.1%)、「準備は完了している」(7.6%)です。

同調査では、「準備が必要かわからない」との回答について、2016年7月の前回調査で「変更しなければいけないことを知らない」との回答が約47%を占めていたことから、「準備の必要性への認識が約20ポイント向上している」と説明しているものの、約8割が準備に着手できていないという回答があり、10月までに環境が整備できるのかが懸念されます。

同調査では、以下の傾向も明らかになっています。
・小規模な事業者において特に準備が進んでいない。
・BtoC事業者は、準備の必要性は認識しているものの、「何から取り組めばいいかわからない」という回答が多い。
・経理事務のIT化状況を売上高別にみると、売上1千万円以下の企業では約5割が手書きで帳簿等を作成している。

5割以上が「準備が必要かわからない」「何から取り組めばいいかわからない」と回答している状況から、準備に取りかかる以前に内容が理解されることの重要性がうかがえます。同調査内の「軽減税率導入の課題」では、「値札、価格表示などの変更」「経理事務の負担増」「レジの入替、社内システムの改修」といった実際の対応に関する課題とともに、「制度の理解、従業員への教育」「何が問題かわからない」など理解に関する回答も多く挙がっているのです。

日本商工会議所がこの調査の同月に発表した「『平成31年度税制改正に関する意見』について」では、この約8割の中小企業が準備に取りかかっていない状況を引き合いに、軽減税率制度への準備はほとんど進んでいない状況にあると指摘し、混乱なく軽減税率制度が導入されるために、まず国からの徹底的な広報により事業者の準備を促すなど早急な対応が必要だとしています。

<ココまでのまとめ>
・日本商工会議所の実態調査によれば、81.2%もの企業が軽減税率の準備に取りかかっていない。
・店舗が準備に取りかかる前に、内容が理解されることが重要。

<参考資料>
日本商工会議所 中小企業における消費税の価格転嫁および軽減税率の準備状況等に関する実態調査 調査結果について
https://www.jcci.or.jp/research/2018/0928110000.html
日本商工会議所 「平成31年度税制改正に関する意見」について
https://www.jcci.or.jp/recommend/request/2018/0919122000.html

■消費増税対応事例:スマートPOS「スマレジ」導入で、業務効率化、サービス向上も実現

店舗で消費増税に対応した環境を整備すると具体的にどうなるのか、事例を参考にみてみましょう。

東京都の飲食店「鳥芳」は、国分寺市の本店ほか3店舗で串焼き料理などを提供。消費税の軽減税率への対応のため、スマートPOS「スマレジ」を導入しました。

「鳥芳」では、店内飲食のほかに焼き鳥などの持ち帰り販売を行っており、これが軽減税率適用に該当します。店内飲食は標準税率に該当するため複数税率対応が必要になり、一律の消費税率計算しかできない従来のPOSレジでは軽減税率制度へ対応できませんでした。そこで「スマレジ」を採用。これにより低コスト、短期間(施工は1日で完了)で軽減税率対応を実現したのです。

「スマレジ」はPOS情報をクラウド上に置き、スマートフォンやタブレットなどの機器をPOS端末として利用するスマートPOSサービスの一つで、端末からインターネット経由で情報の入出力を行えるため、商品個別に税率設定ができます。また、店舗が複数あってもPOS情報の登録をPOSレジごとに行う必要がなく、売上も一元管理することが可能です。

こうしたスマートPOSの導入によって、「鳥芳」では、消費増税対応だけでなく、さまざまなICT化メリットを感じているといいます。売上管理の面ではジャーナルのペーパーレス化や、会計ソフトとの連携による手入力作業の削減に加え、操作に慣れた人が多いスマートフォンやタブレットが端末であるため、POSレジのような専用機器よりも操作をすぐに覚えやすい点もポイントです。

そして、スマートPOSを利用するためのWi-Fi環境として、公衆Wi-Fiサービス「FREESPOT」に対応したバッファローのWi-Fiアクセスポイント「FS-M1266」を採用したことにより、業務用ネットワークのセキュリティーを実現しつつ、来客向けの無料Wi-Fi提供も可能になりました。こうしたサービス向上は、消費増税によって税率の低いテイクアウトが利用されるようになり、店内客数が減少するのではないかといった飲食店関係者の懸念の払拭が期待されています。

店舗の消費増税対応が求められている状況ですが、必要な対応とは言え、店舗としてはコストを抑えて実現したいところでしょう。低コストで導入できるスマートPOSは、店内飲食とあわせてテイクアウトも提供する店など、軽減税率の影響を受ける飲食店で導入するケースは急増しているといいます。スマートPOSの導入は、同時にICT化や通信環境整備も実現して、業務の効率化や誘客なども同時に達成できるというメリットもあり、消費増税対応後押しにもなり得るでしょう。

<ココまでのまとめ>
・スマートフォンやタブレットなどをPOS端末として利用するスマートPOSの導入により低コストで消費増税対応を実現できる。
・スマートPOSの導入は、ICT化や通信環境整備も実現し、業務効率化や誘客なども同時に達成できるというメリットもある。

<参考資料>
軽減税率制度への対応として注目のスマートPOS「スマレジ」と合わせて、来客向け無料Wi-Fi「FREESPOT」を付加提案。売上管理の効率化に加えて顧客サービス向上も提供
https://www.buffalo.jp/biz/jirei/detail/commerce-smaregi.html

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