普通教室でIT授業

ICT×教育

「無線LAN整備100%」目標とのギャップ。急務となる学校のICT環境整備

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無線LAN整備率は約3割、教育用コンピューターは5.6人に1台

いよいよ来年2020年度から段階的に実施される新学習指導要領。ICT関連では、小学校・中学校・高校共通のポイントとして、以下の内容が明記されました(総則)。

・情報活用能力を言語能力などとともに「学習の基盤となる資質・能力」として位置付けること。
・学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実に配慮すること。

実施を目前に控え、各学校ではどの程度ICT環境整備が進められているのでしょうか。

文部科学省は「平成29年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」を2018年10月に公表しました。平成30年(2018年)3月1日時点における学校のICT環境整備状況は、次のようになっています。

・教育用コンピューター1台当たり児童生徒数:5.6人/台[前年度(以下同):5.9人]
・普通教室の無線LAN整備率:34.5%[29.6%]
・普通教室の校内LAN整備率:90.2%[89.0%]
・超高速インターネット接続率(30Mbps以上):91.8%[87.3%]
・超高速インターネット接続率(100Mbps以上):63.2%[48.3%]
・普通教室の電子黒板整備率:26.8%[24.4%]
・教員の校務用コンピューター整備率:119.9%[118.0%]

いずれの項目も緩やかに整備が進んでいますが、政府はより高い水準の目標を掲げています。

2018年6月に閣議決定された第3期教育振興基本計画(2018年度~2022年度)では、学校におけるICT環境整備の測定指標を次のように設定しています。

1.教師のICT活用指導力の改善
2.学習者用コンピューターを3クラスに1クラス分程度整備
3.普通教室における無線LANの100%整備
4.超高速インターネットの100%整備
5.ICTを活用した教育を実施する大学の割合の改善

特に2、3、4は、文部科学省が新学習指導要領の実施を見据えて取りまとめた「平成30年(2018年)度以降の学校におけるICT環境の整備方針」※で掲げた内容の一部を、この基本計画で政府全体の方針として設定したことになります。
※整備方針では特別教室も無線LAN整備の対象

5年間でこれらの目標を達成することを考えると、特に「学習者用コンピューター」「普通教室における無線LAN」の整備を急ピッチで進める必要があるといえるでしょう。

〈ココまでのまとめ〉

・文部科学省が公表した調査結果によると、学校のICT環境整備状況は緩やかに進展している。
・第3期教育振興基本計画で掲げられた目標を達成するためには、特に学習者用コンピューターや普通教室における無線LANの整備を早急に進める必要がある。

〈参考資料〉

平成29年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/10/30/1408157_001.pdf

第3期教育振興基本計画
http://www.mext.go.jp/a_menu/keikaku/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/06/18/1406127_002.pdf

整備状況の地域格差が7倍以上の項目も。政府は地方財政措置を実施

学校のICT環境整備状況には地域格差があることも課題のひとつです。先述した文部科学省公表の調査結果では都道府県ごとのデータも公表されており、例えば、以下のような数値が出されています。

教育用コンピューター1台当たり児童生徒数
:1位 佐賀県1.8人/台、最下位 埼玉県7.9/台
普通教室の無線LAN整備率:1位 静岡県68.6%、最下位 福岡県9.4%
超高速インターネット接続率(30Mbps以上):1位 富山県100.0%、最下位 山口県72.1%

1位と最下位の地域で、教育用コンピューターでは約4倍、普通教室の無線LANについては約7倍もの格差がある状況です。

文部科学省は、現状のままでは新学習指導要領の実施に影響を及ぼし、児童生徒の学習に支障をきたす可能性を懸念。2018年7月には、各教育委員会教育長に向け、学校のICT環境の整備や教員のICT活用指導力の向上に万全を期すよう通知しています。併せて、学校におけるICTを活用した学習場面や、「全国の学校(普通教室)におけるICT環境整備のステップ(イメージ)」も提示されました。

また、学校のICT環境整備にかかる経費に対しては、2018年度~2022年度の期間、単年度で1,805億円の地方財政措置が講じられることになっています。学校のICT環境整備が各地方自治体にゆだねられている側面も大きい中、政府は自治体の取り組みを後押しし、地域格差の縮小に向けて対策に乗り出した形です。

〈ココまでのまとめ〉

・学校のICT環境整備状況には地域格差があり、新学習指導要領の実施に影響を及ぼすことが懸念されている。
・学校のICT環境整備に対し、単年度で1,805億円の地方財政措置を講じるなど、政府は地域格差の縮小に向けて対策を進めている。

〈参考資料〉

第3期教育振興基本計画を踏まえた,新学習指導要領実施に向けての学校のICT環境整備の推進について(通知)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1407394.htm

文部科学省はアドバイザー派遣事業を継続。各自治体の取組事例もヒントに

各地方自治体がICT環境整備をいっそう進めるにあたって、文部科学省による「ICT活用教育アドバイザー派遣事業」の活用も推進されています。同事業は2015年度から継続的に実施。文部科学省が各自治体のニーズに応じてアドバイザーを派遣し、実態に即したICT環境整備やモデル事業の実践などの助言を行うものです。アドバイザーは技術教育を専門とする大学教授、小中学校の校長、教育委員会の専門員などが務めています。

さらに、事業を通じて得られたナレッジやノウハウは報告書にまとめられ、教育委員会関係者へ共有されています。直近では、平成29年度事業の成果物として「学校のICT環境整備 推進の手引き」が公開されました。「教育の情報化推進のプロセスと進め方」といった基本的な考え方から、学校ICT環境の整備・運用の実践的ノウハウ、40以上に上る地方自治体のICT環境整備取組事例まで、体系的に記載されています。

各地域の教育委員会においては、これらの事業の活用を検討したり、先行事例を参照したりしながら、より戦略的に学校のICT環境整備を推進していくことが求められます。

〈ココまでのまとめ〉

・ICT環境整備を推進するにあたり、文部科学省による「ICT活用教育アドバイザー派遣事業」の活用が推進されている。
・同事業の報告書には先行的な自治体の取り組みを参照でき、各地域の教育委員会の実践につなげられる内容となっている。

〈参考資料〉

ICT活用教育アドバイザー派遣事業
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1402867.htm

タブレット授業を見据えた、学校におけるICT環境整備。バッファローの教育ICT環境整備ソリューション(特集記事・導入事例・イベント)
https://www.buffalo.jp/biz/industry/detail/bunkyo.html

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