ICT×教育

ICT設備の一斉更新を支える無線LAN――EDIX 2019レポート

2019年6月19日から21日まで、東京ビッグサイト青海展示棟で「第10回 学校・教育総合展(EDIX)」が開催。2020年から全面施行となる新学習指導要領に向けて「教育のICT化」がますます注目される中、約430社、29,729名(※)の教育関係者にご来場いただきました。
※同時開催展を含む。主催者発表速報値。

当社は今年も教育ICTの基盤となる「無線LAN(Wi-Fi)環境」の整備について提案いたしました。

展示ブースでは製品・サービスのメリットを紹介したほか、ICTを活用してすでに先進的な授業に取り組まれている先生方による講演も行い、多くの来場者に聴講いただきました。

<ご登壇者様(登壇順)>

  • かえつ有明高等学校・かえつ有明中学校 情報センター主任 佐藤 雄一 氏
  • 大分県立芸術文化短期大学 情報コミュニケーション学科 非常勤講師 望月 陽一郎 氏
  • 千葉県八千代市教育センター 主任指導主事 黒飛 雅樹 氏
  • 神奈川県立生田高等学校 管理運営グループ グループリーダー 統括教諭 天野 尚治 先生
  • 目黒日本大学中学校・高等学校 総務課長補佐 伊藤 裕 氏
  • CFD販売株式会社 事業推進部 リテールマーケティンググループ DJI CAMP インストラクター 高橋 宏明 氏

小中学校33校でICT一斉更新。調達で意識したことは?――八千代市教育センター 黒飛雅樹氏

2日目となる20日には、千葉県八千代市教育センター 主任指導主事の黒飛雅樹氏に登壇いただき、2018年度から八千代市の小中学校(33校)で実施された「ICT一斉更新」に関して、どんなことを一番意識されたか、調達担当という立場から貴重な体験談をお話しいただきました。

千葉県八千代市教育センター 主任指導主事の黒飛雅樹氏。同市の小中学校33校で実施されたICT一斉更新の経緯を紹介。

八千代市では子供たちが世界で活躍できるよう、英語教育を充実させるなど、その可能性を引き伸ばす教育を進めています。

ただ、以前は校外とつながるツールが乏しく、文部科学省がまとめた「2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」と比べても、無線LAN、学習用コンピュータ、大型掲示装置(電子黒板)など大半のICT設備が不足していたそうです。

さらに差し迫っていたのが、サーバーの老朽化問題。「夏に温度上昇で連続ダウンしたり、HDD故障が頻発したり。保守部材も枯渇寸前で、いずれデータを消失しかねない状況でした」(黒飛氏)。

このほかにも対応すべき課題は多かったそうですが、「部分的に対応していくと随意契約が増えて煩雑になってしまう。スケールメリットを生かしてコストを抑えるためにも、どうせやるなら包括的に一本の契約でやろう」と考えた黒飛氏。外部の有識者とも相談しながら、少しユニークな方法で調達を進めたとのこと。

「私たちは要件定義や機器選定の専門家ではありません。なので『100Mbps』といった機能要件をそのまま提示するのではなく、教室で子供たちが実際にどんなことに困っているかに着目しました。子供たちからは『黒板が見えない』『道具が1個しかなくて順番待ち』『移動に時間がかかる』といった声が上がり、授業中に思考が中断されることが多いと分かりました」(同氏)。

教室で子供たちが実際にどんなことに困っているかに着目。授業中に思考が停止せざるを得ない時間が多いことが分かった。

そこで調達の際には、『これら子供たちの悩みを解決するために、ICTでどんなことができるか』という観点で、『サービス仕様』としての提案を募ったそうです。

「例えば、普通教室には机があってスペースにそれほど余裕がありません。ここにどうICT機器を導入し、有効活用するか。一方、PC教室では机を取っ払うこともできるため、広い空間を生かして『ここでしかできないこと』は何かないか。そんな提案をしてもらいました」(同氏)。

そうした結果、普通教室には「タブレット40台」「電子黒板」「書画カメラ」、PCルームには柔軟に配置できる「勾玉机」や「Web会議システム」など、多くの機器を導入できたといいます。Web会議システムは、インフルエンザの時期に全校集会の代わりに利用したり、生徒会選挙に利用したりと、先生方の会議だけにとどまらない使い方がされているとのこと。

そして、こうしたツールを安定的に利用するために必須なネットワーク環境としてご利用いただいているのが当社の無線LAN製品。「入念な打ち合わせによって安心して導入することができました」(同氏)と評価していただきました。

包括的に一本の契約でICTを整備。学校でやりたいことをサービス仕様として取りまとめ、普通教室やPC教室でどんなことができるか、提案を募った。

最後に黒飛氏は、調達にあたって特に意識した点をこう説明します。

「教員は『子供たちのため』というと無条件で優先度を上げてしまいがちなところがあります。でも、それだけだと調達はできません。なぜなら、別になくても授業は可能でしょうということになってしまうから。そこで意識したのは、予算や法律を踏まえながら、『ICTでなければできないことを追求する』こと。

また、導入したらすべて使わなければいけないと固く考えるのではなく、『必要な時に必要なものを利用しよう』と考えるのが重要だと思います。なので導入研修も段階的にスケジュールを組んでいて、『日常的にすぐに授業で利用できるもの』から、順次学んでいくようにしています」(同氏)。

この結果、タブレットの利用率は110%(1日1回を100%とする)、電子黒板の利用率は45%(80%の授業で活用を100%とする)を超えているとのこと。この成果には、来場者からも感嘆の声が上がっていました。

講演には多くの来場者が足を止めて、八千代市の事例に耳を傾けていた。

「まず何から始めたらいいの?」――その悩み、率直にぶつけてください。

展示ブースでは、「トライバンド」「DFS障害回避機能」「公平通信制御機能」といった機能を備える無線LANアクセスポイント(AP)「WAPM-2133TR」をはじめ、学校において安定した無線LAN環境を実現する製品を展示。来場者のさまざまな質問に、当社スタッフがお答えしました。

ついでながら、「トライバンド」とは無線LANで3つの周波数帯域で同時通信ができる機能のことです。例えば、1クラス40台ものタブレットを同時接続する場合も、2系統の5GHz帯に20台ずつ接続することで、安定した通信環境が得られることをご紹介していました。

無線LANアクセスポイント(AP)「WAPM-2133TR」、学校において安定した無線LAN環境を実現する製品を展示。

学校教育の在り方が移り行くとともに、ICT環境整備の重要性は高まる一方です。
展示ブースのお越しいただいたお客様からは「何から始めたらいいか分からない」という声をたくさんいただきました。
これに対する当社の強みは、実機検証に基づき、現状に即した提案が行えること。小学校は2020年度から、中学校は2021年度から全面実施される「新学習指導要領」に向けて、新しい教育を実現するICT環境の構築をお手伝いできればと考えています。

展示ブースでは、多くの来場者と交流できました。

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