インタビュー

ルーター芸人は天才ハッカー? それともアーティスト?

「ルーター芸人」の子ども時代

――末田さんはどんな子ども時代を過ごしていましたか?

僕は小学校から帰ると、すぐにパソコンをやるような子どもでした。

小学校2年生でブラインドタッチができるようになって、5年生からはWindows 用インタプリタ言語のHSP(Hot Soup Processor)でプログラムを書いて、遊んでいましたね。
5年生の終わりごろには「じゃんけんゲーム」を自分でつくったこともあります。グー、チョキ、パーの手を写真で撮って、パソコンソフトで切り抜いて画像にして、じゃんけんができるプログラムを書いて。「じゃんけん・・・」と画面に出たら、グー、チョキ、パーのどれかのボタンを押すというものです。

親や友達に遊んでもらって、「凄いね!」と言われるのがうれしかったですね。

――“Wi-Fiルーターいじり”のようなDIYも子どもの頃からしていたんですか?
DIYではなく分解は小学生の頃からしていました。小4のときにプレイステーション2が壊れてしまったので、親に了解もとらずに勝手に分解したことがあります。「でっかい基板がある!」「黒いのがいっぱいある!」って驚いたことを覚えています。ただ、残念ながらプレイステーションは元の形には戻りませんでした…。

電子工作は中学生に入ってからで、初めて電子部品をいじったのは中学2年の頃です。技術室で余っていた電子部品を先生からちょっと失敬して(笑)、持ち帰って、家にあったハンダゴテで何もわからないまま、いじりはじめたのが最初です。

知識はなかったけど、何となく面白そうと思っていたんですね。わからないことだらけでしたけど、ネットで調べながら「音に合わせてLEDが光るもの」などをつくって遊んでいましたよ。

「ルーター芸人」の普段の生活とは?

――現在のお仕事内容を教えてください。
昨年から千葉県にあるFULLER(フラー)株式会社というところで働いています。

僕の主な業務はデータ分析事業で、たとえば「アプリを何人が起動している」などのデータを集めて、分析して、アプリデヴェロッパーに販売することです。データをもとに必要な情報を提供するコンサルティング的な仕事もやっています。

――FULLERさんはかなり「自由な会社」だと聞きましたが。

はい、かなり自由です。ちなみに、「走るWi-Fiルーター」は会社の仕事とは全く無関係ですが、制作作業は全て会社のデスクでやりました(笑)。FULLERはエンジニアが全員、工業高等専門学校(以下、高専)の卒業生なので、ちゃんと仕事をしていれば、ものづくりに関しては非常に寛容な文化があります。

高専にいたときも自由にものづくりができて楽しかったですけど、今もそのテンションと何ら変わりなくものづくりができているので、本当に楽しいですよ。ちなみに、会社では現在、デヴェロッパーを募集しているので、気になる方は僕に気軽に連絡をください!
https://www.facebook.com/takumi.sueda

――休みの日は何をしているんですか?

コーヒーが大好きなので、おいしい豆を探しに行くこともあります。

じつは、数年前まではコーヒーは「苦くて酸っぱいもの」と感じて飲めなかったんですよ。でも、高専時代の先生がコーヒー好きで、「これ飲んでみなよ。絶対おいしいから」と言って飲ませてくれたものが衝撃的においしくて。

たまたま高専の近くにコーヒー専門店があったので、そこに通って、店内にある20種類近くのコーヒーを全部飲んで、自分でもミルなどの道具を揃えて、一気にのめり込みました。今もプログラムを書いていて行き詰まると、コーヒーを飲んでリラックスします。

気になる第3弾のWi-Fiルーター作品とは!?

――第3弾は制作中ですか? どんな作品になるのでしょうか?
残念ながらまだ詳細は言えません。「夏にみなさんが必要とするもの」とだけ言っておきます(笑)。Wi-Fiルーターを使った新しいIoTなので、ぜひ楽しみにしていてください。

――最後に、「ルーター芸人」が考える「Wi-Fiルーターの魅力」を教えてください。

どこの家庭にもあるほど身近で、調達しやすいので簡単にいじることができる点ですね。あと、僕が中学2年の頃にWi-Fiルーターにハマった理由は「こんなに小さな機器がパソコンと同じシステムで動いているなんて超かっこいい!」と思ったからです。

走らせたりすることは電子工作向けにつくられた専用のコンピューター、例えば「Raspberry Pi」を使ってもできますが、それで実際にやったとしてもブログ記事はバズ(ヒット)らなかったと思います。だって、当たり前のことですから。

Wi-Fiルーターの仕組みは「通信に特化したパソコン」のようなものなので、僕がやっていることは「特化したものをまたパソコンのように万能の機器に戻す作業」なのかもしれません(笑)。

発表済みの作品以外にもこれまでにUSB端子のないWi-FiルーターにUSB端子をつけたり、停電などでWi-Fiルーターの電源が切れたときに『エヴァンゲリオン』の「アンビリカルケーブル断線!」という音声が流れるものなどもつくりましたが、改造次第ではWi-Fiルーターをゲーム機にすることもできると思っています。

※WBR2-G54にUSBコネクタ端子を追加したときの画像

だから、今後もさまざまなことにチャレンジしていきたいですね。ネタは全く尽きる気配がありません。

(取材・文:廣田喜昭)

プロフィール
末田卓巳(すえだ・たくみ)
1994年生まれ。岡山県出身。
2010年 津山工業高等専門学校入学。在学中に 高専プログラミングコンテスト優秀賞を受賞。
2015年 津山工業高等専門学校卒業。FULLER株式会社入社。
「ルーター芸人」を自称し、趣味でWi-Fiルーターの改造を続ける。その活動をまとめたブログ記事「BuffaloルータをPCディスプレイにつなげた。」(2016年2月)、「走るBuffaloルータを作った。」(同年5月)が大ヒットし、エンジニアリング界隈で話題を呼ぶ。現在もWi-Fiルーター作品を鋭意制作中。
※この記事はアート作品のご紹介を目的としたもので、分解・改造を推奨するものではありません。分解や改造によって生じる損害に関してはご対応いたしませんので予めご了承ください。
※電波に関する注意:本製品は、工事設計認証を受けていますので、以下の事項を おこなうと法律で罰せられることがあります。 「本製品を分解/改造すること」「本製品の裏面に貼ってある証明ラベルをはがすこと」
※この記事に関する個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません

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