ICT教育

ICTで子どもの自立心を育てる【シリーズ「国が推進するICT環境の整備。ICTで子どもの教育はどう変わるの?」】

シリーズ前回(第3回「ICTを取り入れた授業の事例 」は、実際に行われているICTを活用した授業をいくつか紹介しました。
今回は、「ICT」と「子どもの自立心の成長」の関係に迫ります。この両者を結ぶポイントは、最近、教育界でよく聞く「アクティブ・ラーニング」にあります。

●現代の子どもには「自立心」が求められている

教育は、ただ知識を詰め込むだけではなく、子どもの自立心を育むことも大切な要素です。

「自立」とは、自分以外の他者からの助けなしで物事を行うこと。教育には、子どもが大人になったときに、自分1人で生きていける力を付けてあげることが期待されています。

その一方、最近の調査で、多くの保護者が「子どもが自立できるか不安に思っている」ことが判明しました。2016年に東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が小中高生の親子を対象に行った調査によると、「子どもが大人になって自立できるか不安があるか?」という質問に対して、過半数の51.2%の保護者が「不安である」と回答しています。

この不安の背景には、“時代の急激な変化”が影響しているのかもしれません。

「2011年に小学校に入学した子どもの65%は将来、今は存在しない職業に就く」と予測するアメリカ人研究者もいるほど、世界は変化の過渡期にあります。2011年に小学校入学ということは、今は12歳前後の子どもたち。
彼らが大人になり、激変する世界を生きていくためには、自分の頭で考えて行動する=自立心が昔よりも必要なのかもしれません。
そのためにも「現在あるものを学ぶだけでなく、変化に対応して、自分で考える力」を育むことがとても重要になってきます。

こうした力を育むうえで、ICTの活用が有効だと考えられます。
それは一体、なぜなのでしょう? その理由を探ってみましょう。

<ココまでのまとめ>
・多くの保護者が子どもの自立に対して不安を抱いている。
・世の中が激変する現代は、子どもに「自分の頭で考える」強い自立心が求められる。

■ICT教育が子どもの「自立心」を育む

近年、教育界では「アクティブ・ラーニング」という言葉がよく使われるようになりました。

アクティブ・ラーニングとは、教員が生徒に一方的に講義するのではなく、生徒がプレゼンテーションやディスカッションなどを通して、能動的に学習する方法のことです。知識詰め込み型の授業ではなく、生徒が自ら資料を制作したり、論理を組み立てたりすることで、「自立心」を育むことができると期待されています。

このアクティブ・ラーニングを実現するうえで欠かせないものになっているのが「ICTの活用」です。

具体例をあげると、「パソコンでプレゼンテーションをつくり、発表する」「ディスカッションでは表現力に富んだ情報を事前に、あるいはその場で検索し、咀嚼しながら議論する」などの事例があります。

<ココまでのまとめ>
・自立心を育むアクティブ・ラーニングを実践するうえでICTが有効。
・自立を目的としたICTの活用もすでに行われている。

<参考資料>
文部科学省│第11章 ICTの活用の推進

未来の学校は教師が不要になる?

現在、ICTの教育現場への普及は急速に進んでいます。

兵庫県赤穂市の教育委員会は、2016年に市内の全小中学校に無線LANアクセスポイントを設置しました。その中でも、20年以上前からICT教育に力を入れている赤穂東中学校は、全教室でタブレット授業が行える環境を整えています。
タブレットを使った授業で児童の集中力が上がり、積極的に授業に向き合うようになっています。さらに、児童が先生役になって授業を行う試みにも、タブレットを活用しています。
また、同様に全教室に無線LANアクセスポイントを整えている大阪教育大学附属平野小学校では、屋外実験でスマートデバイスを活用。実験の様子を動画撮影し、その動画を活用してグループワークや発表を行うなどしています。

このように、ICTを活用することで児童・生徒が授業に能動的に関わるようになるとともに、教師はサポートに徹することができるようになります。

さらにICT教育が進んでいくと、授業の形態は昔とは様変わりしてくことでしょう。

日本よりも進んだICT教育を実践している国の1つに、シンガポールがあります。シンガポールはICT先進国で、2008年からICTを活用した「フューチャースクール」という国家戦略を推進しています。フューチャースクールを直訳すると「未来の学校」ですね。
その中では、AI(人工知能)を使った授業も行われています。「ニュートン」と名付けられたこのAIは、膨大なデータを利用し、あらゆる質問に対して長文で回答することも可能なのだとか。先生よりも知識量が多いことは言うまでもありません。

日本もICTの活用が広く普及し、生徒が自主的に学ぶ体制ができあがってくると、先生の役割も「知識を伝える」から「生徒の自立をサポートする」に変化するのかもしれませんね。

<ココまでのまとめ>
・赤穂市は市内の全小中学校に無線LANアクセスポイントを採用した。
・ICT教育が進むと、先生の役割は「教える」から「自立を手助けする」に変化する可能性も。

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